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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章
「ああ、バレていたのか……。お前が恨めしそうに菓子を睨んでいて、気になったんだ。翌日、幸せそうに菓子を頬張っているお前を見て、ああやっぱり、愛してしまったんだと、自覚したよ……」
「そ、そんなに前から……?」
(ヴィヴィの事、好きでいてくれたんだ……)
1年と2ヶ月も前から、兄が自分を愛してくれていた事実に、ヴィヴィは驚きを隠せなかった。
「そうだね……。エディンバラで、俺のソファーに座ってきただろう? いっちょまえに誘惑してきたなと思って、俺もし返した。お前がまた、俺を襲いに来るんじゃないかって、少し期待もしていた……」
「……う、そ……」
兄のまさかの告白に、ヴィヴィは口元に両手を添えて驚嘆した。
1人掛けソファーに座った兄の隣に密着して腰を下ろした自分を、匠海は周りからは見えないところで、その背と腰に触れてきた。
兄のその行為に自分が欲情してしまったのは、つまり匠海もそのつもりで触れていたからだったとは。
「プールも心配して付いて行ったんだ。結局、 “棒っきれ” なんて心にも無い事を言って、怒らせてしまったけれどな」
「……知らな、かった」
その後の自分は「お兄ちゃんを卒業して☆新生ヴィヴィ☆になるっ」とガキ丸出しで、兄を苦しませている事など気付きもせず、能天気にへそを曲げ続けていた。
「まあその後は、俺のほうが我慢出来なくなって。パリの試合後にホテルの部屋に誘って、お前を抱いたはいいけれど……。俺もまだ青くて、今まで溜めていたものが爆発してしまった。ヴィクトリアが『ヴィヴィは、お兄ちゃんのものだよ』って言ってきたから、なら当分はそれでいいかと……」
「………………」
確かにあの時の兄は、ヴィヴィの事を “実の兄を欲しがる淫乱な売女” 呼ばわりし、挙げ句の果てにはクリスとのセックスを仄めかしたり。
翌朝は一転して、ヴィヴィを甘やかしながら抱いてくれたが。
(でも……どうして……、どうして、両想いだったのに……?)
困惑顔で兄を見つめるヴィヴィに、匠海はじいと強い視線で見下してくる。
「何故だか、まだ解らないか?」
「……ごめん、なさい……。ヴィヴィ、馬鹿だから……」