この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章         

 分からない。

 自分はここまで説明してもらってもなお、解らなかった。

「罪悪感も何も覚えずに、純粋に俺だけを愛してくるヴィクトリアを、俺はどうしても受け入れる訳にはいかなかった。“覚悟” が足りない、 “決意” が足りない、そう思っていた」

「…………え……?」

 ヴィヴィの唇から戸惑いの声が漏れる。

 “覚悟”

 “決意”

 ――それは一体、何の為のものなのか?

「それにお前は短期的にしか、俺を求めていなかっただろう?」

「え……?」

「俺を襲ったとき、俺の『復讐』を受けているとき、お前はこれから先の人生を、俺と生きていく “決意” をしていたか?」

 兄のその問いに、ヴィヴィの灰色の瞳が心の動揺を表すように、四方へと振れる。

「…………ヴィヴィ、目の前のことに必死で……。お兄ちゃんに、振り向いて欲しいって……」

(だって、自分を愛してくれるかも判らない、お兄ちゃんとの未来なんて……。ヴィヴィ、想像すら出来なくて……)

 妹の心の中での言い分を分かってか、匠海は強い瞳をヴィヴィに向けてくる。

「俺はお前を愛していると気付いた時、一生添い遂げようと思った。確かに兄妹で結婚は出来ないけれど、2人でずっと寄り添って生きていきたいと思ったんだ。だからこそ俺は、 “覚悟” の無いお前を、受け入れる訳にはいかなかった――」

「………………」

 呆けた様に自分を見上げてくる妹に、匠海は自嘲する様な歪んだ笑みを浮かべた。

「ふ……、重いか?」

「まさかっ!? ……ただ、すごく……、びっくり、しちゃって……」

 咄嗟に兄の言葉を否定したヴィヴィだったが、その後は言葉が続かなかった。

(お兄ちゃんが……、お兄ちゃんが、2人の将来まで、そんなに考えてくれていた、なんて……)

 あまりに自分の思い描いていた兄の姿とかけ離れていたからか、ヴィヴィは驚くというよりも戸惑っていた。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ