この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章         

「じゃあ、はい」

 差し出された兄の大きな掌に、恐るおそる白い手を乗せたヴィヴィに、匠海が笑う。

「あははっ なんか、 “お手” してるみたいだな?」

「な……っ!? 違うもんっ」

 咄嗟にそう言い換えしたヴィヴィを、匠海が更にからかう。

「じゃあ “おかわり” もする?」

「しない……っ」

 空いたほうの手を握り締めながら、ヴィヴィは力いっぱい否定した。

「あははっ」

 楽しそうに笑った匠海は、これまでの10分の面談と同じ様に、今日1日の事を面白おかしく話してくれた。

 片手を繋いだ状態で長く話をするのなんて、いつぶりだろう

 繋いだ手をちらりと見つめ、兄の大きな掌の暖かさを感じていたヴィヴィは、自分をじっと見下ろしている匠海に気付いていなかった。

「なあ、ヴィクトリア……」

 そう呼ばれた声が先ほどまでの明るいものとは一線を画していて、気になったヴィヴィは視線を上げて兄を見つめた。

「……なあに……?」

「ここ数日……、ヴィクトリアのベッドルームで、ヨガとかしてた時……、俺の事が信じられなくて、焦ってたんだろう?」

「……え……?」

 掠れた声でそう呟いたヴィヴィは、真っ直ぐに自分を見下ろしてくる匠海の瞳が強すぎて、戸惑った様に少し腰を引いた。

「『待つ』って言ってたけど、何時かきっと俺が我慢出来なくなって、無理やり抱かれると怖くなって……。だから、俺に裏切られるのが怖かったから、自分からそのきっかけをつくった」

 兄のその的を射た指摘に、ヴィヴィは息を呑み、ただただその視線を受け止める。

「……――っ」

(……気付いてたんだ……、お兄ちゃん……)

「お前の誘惑に乗って俺が手を出せば、たぶん俺は、一生ヴィクトリアに信じて貰えなかった。俺がお前を本気で愛しているということを……。だから、可愛く俺を誘惑してくるお前を、本当は抱き締めて、沢山触れたかったけど、我慢したんだぞ?」

 そう説明して、最後に「めっ」と幼な子にする様に窘められ、ヴィヴィの顔がくしゃりと歪んだ。

「お兄、ちゃん……っ ごめんなさい、試すような真似、して……っ」

 もう少し時間を置いてから、兄に説明して謝罪しようと思っていた事実。

 それをまさか兄から窘められるとは思いもせず、ヴィヴィはすぐに謝った。

/2774ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ