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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章         

「顔を上げて、ヴィクトリア」

 そう促され、恐るおそる顔を上げたヴィヴィは、目の前にある匠海の切ない表情に息を呑む。

「………………っ」

 そして少し肉感的な綺麗な唇から零れたのは、匠海の本当の気持ち。

「愛しているよ、心から」

「……っ うん……っ」

 兄の言葉に、ヴィヴィは締め上げ続けてくる胸に、苦しそうに瞳を眇め。

 そして灰色の瞳からは、ぼろぼろと熱い涙が零れ落ちていく。

「ヴィヴィ、も……っ」

「うん」

 自分の言葉に返される、兄の暖かな相槌。

「ヴィヴィも、好きぃ……っ」

「ああ」

 唇が震えて、いう事を聞いてくれない。

 ちゃんと口にしたいのに。

 匠海への自分の気持ちを、きちんと言葉にして贈りたいのに。

 落ち着こうと深い息を繰り返したヴィヴィは、改めて唇を開く。

「ヴィヴィも、……っ お兄ちゃんのこと、愛してる、もんっ」

(そう、生まれた頃から、ずっと……)

「本当?」

 何故か疑わしそうに半眼で見つめてくる匠海に、ヴィヴィは思わず喚いた。

「ホントだもんっ 愛してる……っ!、あいしてるよぉ……、ふぇええ~ん」

 最後の方は情けない泣き声に変ってしまったヴィヴィの告白に、匠海は顔を輝かせた。

「あはは、なんで泣く」

 兄のその突っ込みに、ヴィヴィはひくひくする薄い唇で、弱々しく言い返した。

「わ、わかんないよぉ……っ」

(そんなの、ヴィヴィが知りたいよぉ~~っ)

 空いたほうの手で涙を拭い始めたヴィヴィに、兄はローテーブルの下からティッシュを取り出し、数枚ヴィヴィに持たせた。

「可愛いなあ~……。お前は本当に、俺を虜にする天才だよ」

 しみじみといった感じでそう囁かれ、ヴィヴィは心の中で地団駄を踏む。

「……~~っ!?」

(いや、それ、お兄ちゃんだしっ!! お兄ちゃんなんか、ヴィヴィをずっと虜にしてきたじゃないっ)

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