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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章         

「脱ごうね……」

「おにいちゃん、も……」

 目の前で囁かれた言葉にそう返せば、匠海の端正な顔が甘えたそれに代わる。

「じゃあ、脱がせて?」

「うんっ」

 兄のその様子が可愛くて、ヴィヴィは弾んだ声でそう答えると、シャツを手繰り上げて首から脱がせた。

 パンツも脱がせようとしたが、それはさっさと自分で脱いでしまった兄が、今度は妹のナイトウェアを楽しそうに脱がせていく。

「ほら、バンザ~イして?」

「やぁっ 『お子ちゃま』扱い、しないで~っ」

「だって、まだ17歳だろう?」

「ぶ~……」

 艶めいた唇を可愛く尖らせた妹に、匠海はちゅっと吸い付いた後、結局バンザイしたヴィヴィから衣服を脱ぎ取った。

「……っ はぁ……、お前は本当に、どこもかしこも可愛いね」

 自分の乱れた金糸を撫で付けてくれながら、見下ろしてくる兄の灰色の瞳が、熱っぽく潤んでいた。

「……、細い……だけ……」

 恥ずかしそうに両腕を胸の前に寄せたヴィヴィに、匠海はその両手首を優しく包み、ベッドに縫い付けた。

「違うよ。いつまでも舐めていたくなる美しい首筋も、うっすらと入っている腹筋のラインも、片腕で足りるほど華奢な腰も、真っ白で小ぶりのお尻も、俺に縋り付いてくる細い腕も……」

 言葉を区切った匠海が、ごくりと息を飲み下す音が聞こえた。

「この、薄紅色の小っちゃな乳首……本当に、砂糖菓子の様に可愛いよ」

「……お、兄ちゃんっ は、恥ずかしい……っ」

 兄の賞賛に恥ずかしそうに瞳を逸らせたヴィヴィに、匠海は顔を近付けて覗き込んでくる。

「ヴィクトリアの全て……、俺に、愛させてくれるか?」

 匠海のその囁きに、ヴィヴィは灰色の瞳を見張った。

 兄が、自分を愛したいと言ってくれている。

 自分の心も躰も、全て受け止めて、愛を与えてくれて。

 もう、これ以上の、幸せなんて――。

(やっと、……やっと……っ)

「……――っ あ、あいし、て……っ ヴィヴィを、愛してっ!」

 ヴィヴィは必死にそう叫び、兄の愛を乞うた。

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