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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章         

「ふ、そんなもの、覚えていてどうする?」

「そ、そりゃあ、そうだけど……」

 まさかそんな風に聞き返されるとは思わず、ヴィヴィは恥ずかしそうに眉根を寄せる。

(で、でも、それだけお兄ちゃんが、ヴィヴィを可愛がってくれたんだと実感出来て、ヴィヴィは嬉しいけどな……?)

「安心して、俺に愛されてろ」

 そう頼もしく囁かれたら、ヴィヴィだってこれ以上拒否出来ない。

 いや、むしろ言葉通り、安心して愛されたくなる。

「うぅ……、じゃあ、後、1回だけね?」

 可愛らしく拗ねながら譲歩したヴィヴィに、匠海は苦笑した。

「しょうがない。今日は色々、疲れさせちゃったしな」

(そ、そうですよ……、今日ヴィヴィはいっぱい色んなこと聞いて、頭も心も、ついでに躰ももうへとへとなんです……)

「う、うん」

「ごめん、優しく抱くから。もうちょっとだけ、付き合って?」

 そうお願いしてくる匠海の甘えた様子が、物凄く可愛らしくて、ヴィヴィはにんまりした。

「んっ いいよ。甘えん坊さん♡」

(うふふ~っ やっぱりお兄ちゃんは可愛いのっ)

 しかし兄は、ヴィヴィの返事がことさら気に食わなかったらしい。

 嫌そうに凛々しい眉を眇めた匠海は、先ほどとは180度違うぞんざいな声で発した。

「はあ? 誰がっ ……やっぱり優しくしてやらない」

「え゛~~……っ」

 また情けない声を上げたヴィヴィだったが、その後匠海はやはり優しく丁寧に、妹を喜ばせたのだった。





 ヴィヴィにとっては充分過ぎるほど、身も心も満たされて、愛されて。

 兄と一緒に湯を使った後、自分の躰を拭いてくれた匠海を、今度はバスタオルを躰に巻きつけたヴィヴィが、拭ってあげる。

「おいで~」

 大きなバスタオルを開いてそう兄を呼んだヴィヴィに、匠海が苦笑しながらその腕の中に入ってくる。

「いい子いい子」

 そう褒めながら兄の鍛え上げられた逞しい躰を拭く妹を、匠海はまあまあそれでも楽しそうに見下ろしていた。

 しかしヴィヴィのその手が、自分の腰から下を拭こうとして止まったことに気付くと、

「ああ、当分セックスしないなと思って放置してたら、こうなってた」

 妹が恥ずかしそうに、ちらちらと見つめている自分の陰茎の様子を、匠海はそう説明する。

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