この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章
「ふ、そんなもの、覚えていてどうする?」
「そ、そりゃあ、そうだけど……」
まさかそんな風に聞き返されるとは思わず、ヴィヴィは恥ずかしそうに眉根を寄せる。
(で、でも、それだけお兄ちゃんが、ヴィヴィを可愛がってくれたんだと実感出来て、ヴィヴィは嬉しいけどな……?)
「安心して、俺に愛されてろ」
そう頼もしく囁かれたら、ヴィヴィだってこれ以上拒否出来ない。
いや、むしろ言葉通り、安心して愛されたくなる。
「うぅ……、じゃあ、後、1回だけね?」
可愛らしく拗ねながら譲歩したヴィヴィに、匠海は苦笑した。
「しょうがない。今日は色々、疲れさせちゃったしな」
(そ、そうですよ……、今日ヴィヴィはいっぱい色んなこと聞いて、頭も心も、ついでに躰ももうへとへとなんです……)
「う、うん」
「ごめん、優しく抱くから。もうちょっとだけ、付き合って?」
そうお願いしてくる匠海の甘えた様子が、物凄く可愛らしくて、ヴィヴィはにんまりした。
「んっ いいよ。甘えん坊さん♡」
(うふふ~っ やっぱりお兄ちゃんは可愛いのっ)
しかし兄は、ヴィヴィの返事がことさら気に食わなかったらしい。
嫌そうに凛々しい眉を眇めた匠海は、先ほどとは180度違うぞんざいな声で発した。
「はあ? 誰がっ ……やっぱり優しくしてやらない」
「え゛~~……っ」
また情けない声を上げたヴィヴィだったが、その後匠海はやはり優しく丁寧に、妹を喜ばせたのだった。
ヴィヴィにとっては充分過ぎるほど、身も心も満たされて、愛されて。
兄と一緒に湯を使った後、自分の躰を拭いてくれた匠海を、今度はバスタオルを躰に巻きつけたヴィヴィが、拭ってあげる。
「おいで~」
大きなバスタオルを開いてそう兄を呼んだヴィヴィに、匠海が苦笑しながらその腕の中に入ってくる。
「いい子いい子」
そう褒めながら兄の鍛え上げられた逞しい躰を拭く妹を、匠海はまあまあそれでも楽しそうに見下ろしていた。
しかしヴィヴィのその手が、自分の腰から下を拭こうとして止まったことに気付くと、
「ああ、当分セックスしないなと思って放置してたら、こうなってた」
妹が恥ずかしそうに、ちらちらと見つめている自分の陰茎の様子を、匠海はそう説明する。