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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第100章
世界選手権の為に英国を訪れた時、兄はアンダーヘアを全て処理していた。
実は自主的にそうした訳ではなく、オックスフォードに留学していた際の寮の悪友達に、就寝中に奇襲に会い。
「タクミはクマかっ?」、「野生動物かっ!?」と突っ込まれながら、寄ってたかって、じょりじょりされたらしい。
それが丁度、世界選手権間近だった為、兄は処理し続けていたのだそうだ。
そしてそれが日課となり、留学を終えて帰国した兄のそこはいつもツルツルだったが、今日は以前と同じく黒々としていた。
「また、処理、するの……?」
ちらりと上目使いに尋ねながら、また兄の躰を拭き始めたヴィヴィに、
「どっちがいい?」
そう尋ね返してきた兄に、ヴィヴィは返答に詰まった。
「……――っ」
(ど、どっちって、言われても……)
「ヴィクトリアは、剃ったほうが好きだろうな?」
上から降ってくる兄の声を聞きながら、ヴィヴィは匠海の長すぎる脚を拭きながら「な、なんで?」と問う。
「俺のがよく見えて、よりエッチだから」
「~~っ!? そ、そんなことっ」
思わず顔を上げて兄の顔を睨みながらそう反論すれば、匠海はにやりと悪そうに微笑む。
「ないって? ま、いいさ」
バスローブを手に取り自分で羽織った匠海は、ヴィヴィの手からタオルを奪うと、来た時と同じようにその細過ぎる躰を軽々と抱き上げ、寝室へと運び込んだ。
巻き付けていたバスタオルを剥ぎ取られてベッドに放り込まれたヴィヴィは、続いてバスローブを脱いで入って来た匠海に抱き寄せられた。
互いの躰がまるで寄木細工の様に、ぴたりと重なり合う。
頬に感じる広い肩、背中と腰を優しく抱き寄せる長い腕、そして絡ませられる互いの脚。
ヴィヴィの股の間に、半ばまで立ち上がったままの匠海の陰茎が挟まれているのが、若干気にかかるが。
兄の脇から差し込んだ腕できゅうとその躰を抱き寄せれば、金色の頭をよしよしと撫で付けてくる大きな掌に、心の底から癒される。
ただ、その灰色の瞳は、戸惑ったように揺れていた。
(しあわせ、過ぎて……、ちょっと、怖いな……)