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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
「ヴィクトリアっ」
兄の掠れた声を聞いた時には、ヴィヴィはその胸の中に抱き込まれていた。
頬に触れる匠海の逞しい胸が、速い鼓動と共に、途切れない暖かさを分け与えてくれて。
「ずっと……、一緒にいよう……」
「ん……」
ヴィヴィはほっとした様に、目蓋を瞑り、微かに頷く。
「愛しているんだ。ヴィクトリア……っ」
「うん……」
今度はしっかりと返事を返した妹に、匠海は更に抱き締める腕の力を強めた。
昨夜バスを使ってから生まれたままの姿で床に就いた2人は、羽毛布団の下、しばらくは互いの肌を確かめ合う様に重なり合っていた。
けれど、
(めちゃくちゃ……、当たってます、けど……)
ヴィヴィは自分の股の間に捻じ込まれている兄のものが、物凄い硬度でそこにいる事を感じ、さすがに身の危険を感じ始めた。
というか、もうすぐ5時になり、朝比奈がヴィヴィの私室にやってくる。
「……ちゅー……」
か細い声でそう呟いたヴィヴィは、発した直後「ネズミ、かね?」と心の中で突っ込む。
「ん?」
「おはようの、ちゅー、は?」
妹の可愛い催促に、匠海は抱擁を緩めてその顔を覗き込む。
「ああ、タラコになるまでしてあげよう」
悪戯っぽく囁きながら、早速妹の薄い唇に吸い付く兄に、ヴィヴィは弱々しく抵抗した。
「あ、朝は、やめて下さい……」
(今から、リンク行くのに……)
「ふ、しょうがない……。では、俺の可愛い恋人さん。改めまして、おはようございます」
改まった匠海の朝の挨拶に、ヴィヴィも続く。
「はい、おはようございます」
けれど、
「なんで、敬語……?」
羽枕の上、微かに首を傾げたヴィヴィに、匠海も同じ方向に首を傾げる。
「なんでだろ? なんとなくな」
「あははっ」
明るい声を上げて笑ったヴィヴィに、匠海は安心した様に瞳を細めると、その躰を抱き上げた。
「ほら、後5分で朝比奈が起こしに来るよ?」
「あ……っ!」
速攻で現実に引き戻されたヴィヴィはあたふたし、結局兄に「はい、ばんざ~い」とからかわれながらナイトウェアを着せられ、急いで自分の私室へと戻ったのだった。
バスルームに入ったヴィヴィは、高い窓から降り注ぐ朝日を浴びながら、白一色のそこで朝の準備を始める。