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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章          

「……だい、すき……っ」

 胸の上に置いた掌で、くしゃりとナイトウェアを握り締めたヴィヴィに、匠海は薄い唇をちゅうと音を立てて吸い上げてから、言葉でも返してくれた。

「俺も、大好きだよ、ヴィクトリア」

 ヴィヴィは両掌を持ち上げ、兄の頬に寄せると、再度問い直す。

「ヴィヴィを、愛してる……?」

(本当に、本当に、愛してくれている……?)

「ああ、ヴィクトリアが俺の事を嫌いになっても、憎んでも、記憶喪失になって忘れたとしても……。俺は一生、お前の事を愛しているよ」

 そんな大げさに愛を囁いた匠海に、ヴィヴィはその両頬を優しく抓り、「そこまで言うと嘘っぽいっ」と突っ込んだのだった。

「……ね……、一緒に寝よう?」

 兄の両頬を撫でながらそうおねだりしたヴィヴィを、匠海は速攻、

「駄目」

 と拒否した。

「どうしてぇ……?」

 まさか断られるとは思わず、眉をハの字にしてしょげるヴィヴィに、匠海はにたりと嗤う。

「こんな可愛いヴィクトリアを目の前にして、この俺が隣で大人しく眠れるとでも?」

「……へ……?」

「俺の “ここ” も、お前のものだと覚え込ませたくなるじゃないか」

 お腹の上に押し付けられた兄の昂ぶりの感触に、ヴィヴィは息を呑み、困った様に匠海を見上げる。

「…………えっち」

 既に硬い匠海のそれも自分のものだと覚え込まされる = 今晩は寝かせて貰えなさそう と結論付けたヴィヴィは、そう可愛く兄を詰った。

(ヴィヴィは、抱き合って眠るだけでも、充分幸せなのに……)

「男とはそういう生き物なの。ほら、眠るまで傍にいるから」

 最後にもう一度口付けを落とした匠海は、ヴィヴィの上から退き、またその横に長身を横たえた。

「ん……。おやすみなさい」

 素直にそう就寝の挨拶を口にしたヴィヴィは、早く兄も休ませてあげようと、大きな瞳を目蓋で覆った。

「いい子だね……。おやすみ」

 その、匠海の柔らかな声を耳にしながら。





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