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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
11月11日(水)。
先週末に兄との愛を確かめ合い、その後も毎夜添い寝をしてくれる匠海に、ヴィヴィはある決心をした。
勇気を出して確かめよう、と。
まだ、納得していない事を――。
就寝準備を終えたヴィヴィは、兄のリビングにいた。
先程、帰宅が少し遅くなると匠海からメールがあり、ヴィヴィは起きて待っている旨を返信していた。
肌に優しいヌーディコットンで作られた踝丈のネグリジェを纏ったヴィヴィは、同じ白色のルームシューズから足を抜き取り、黒皮のソファーの上にぺたりと座り込む。
空調が効いているとはいえ少しの肌寒さを覚え、自分の部屋にブランケットを取りに戻ろうかどうしようか悩み始めた頃、リビングの扉が廊下側から開かれた。
「お嬢様……。匠海様に御用ですか?」
そう声を掛けて来たのは、兄の執事・五十嵐だった。
「あ、うん。聞きたい事があって……。お兄ちゃんもヴィヴィが待ってる事、知ってるから」
「さようでございますか。何か羽織る物でもお持ちしましょうか?」
ヴィヴィが寒そうに見えたのか、そう気遣ってくれる五十嵐に甘える事にした。
「ん。お願い」
ブランケットを持って来てくれた五十嵐に礼を言うと、彼は主を迎える準備を手際良く行い、
「後、10分ほどでお戻りになるそうですよ」
とヴィヴィに伝え、リビングを後にした。
そしてきっかり10分後。
リビングの大きな扉を開いたのは、紺色のスーツを纏った匠海本人だった。
五十嵐は下がらせたらしく1人で入って来た兄は、リビングの扉を施錠すると、妹の部屋へと繋がる扉の施錠も確認し、ようやくヴィヴィの座ったL字型のソファーへと近付いて来る。
長身を屈めて顔を寄せて来る兄に、ヴィヴィはブランケットを脇にやり膝立ちになると、その唇を受け止める。
「おかえりなさい」
「うん、ただいま」
リラックスした表情で微笑む兄に、ヴィヴィは両腕をその腰に捲き付け、うっとりとその胸に顔を埋めた。
紺のスーツの襟から覗く、薄水色のシャツと、紺にブルーのストライプが入ったネクタイの、その間に。
頬に触れる温かさと共に感じた兄自身の香りに、ヴィヴィは更に両腕に力を込めた。