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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章          

「まあ、ウーロン茶で2時間位付き合って、また本社に戻って仕事してた。そうか、それで車で早朝帰宅して……、お前達に玄関で会って……、ああ!」

 そこまで説明した匠海は、とても嬉しそうな表情でヴィヴィを見つめて微笑んでくる。

「ん……?」

「思い出したぞ。風呂使って、寝ようとしたら……」

「…………あ゛っ」

 そこまで説明されて、ヴィヴィは自分の過ちに気づいて変な声を上げた。

 けれど匠海は、そんな妹に追い打ちをかけるように、顔を寄せて間近で囁いてくる。

「ヴィクトリアのエッチな蜜が、黒いシーツに残されていて」

「いやぁああっ!!」

 互いの記憶から消し去りたい恥ずべき過去を思い出し、ヴィヴィは兄の胸の中で頭を抱えた。

(か、完璧に忘れてた……っ!!)

「そうだよな? 俺を待てなくて、自分で慰めちゃったんだよな?」

 そう囁いてくる匠海の端正な顔は、嬉しくてうれしくて仕方ないといった風に緩みきっていた。

「……~~っ」

「それ想像するだけで、興奮して、俺も――」

 うっとりと当時を思い出す兄に、ヴィヴィは恐るおそる唇を開き続きを促す。

「……お、俺も……?」

「いや、何でもないよ」

 そう否定して、先程とは180度異なる爽やか過ぎる微笑みを浮かべた匠海に、ヴィヴィはぼそりと突っ込んだ。

「…………変態」

「酷いな。ヴィクトリアと同じこ――」

 まだ続けようとする匠海の口を、ヴィヴィは咄嗟に両掌で塞いで叫んだ。

「もうっ 言っちゃダメ~~っ!!」

 けれど、ヴィヴィの細い両手首は、すぐに匠海の大きな両掌で掴まれ、そのまま顔を覗き込まれて。

「今度、俺の前でして見せて?」

「……~~っ あれ以降したことないっ」

 必死に言い返すヴィヴィに、匠海は完全に面白がっていた。

「可愛いんだろうな……、ほっぺ真っ赤にして『お兄、ちゃん……っ』って呼びながら、1人で気持ち良くなってるヴィクトリア」

「~~っ!? 忘れて今すぐ忘れてっ!!」

 ヴィヴィは兄の頭を掴んでぶんぶん振り、物理的に脳味噌からその記憶を消去してやろうと思ったが、如何せん両手首を掴まれていては何も出来ず。

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