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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
「あははっ ヴィクトリア?」
「………………っ」
「膨れても、可愛いな」
「や……っ 意地悪ぅ~~っ!」
いつまでもからかってくる兄に、ヴィヴィは泣きそうな表情で匠海の拘束から逃れようと暴れ始めた。
けれど次の兄の言葉に、その動きをぴたりと止めた。
「他に気になってることは?」
「……え……?」
ゆっくりと兄の顔を振り仰ぐと、匠海はまるでヴィヴィが愛おしくて堪らないといった様子で、瞳を細めて自分を見下ろしていた。
「何でも聞いていいよ。全て答える」
「お兄ちゃん……」
妹の両手首を解放した匠海は、腕の中の華奢過ぎる身体を優しく抱き寄せ囁いてくる。
「ヴィクトリアのちっちゃな胸を苦しめる物があるなら、全て排除したい」
「………………っ」
「ほら、言ってごらん」
そう優しく促され、ヴィヴィはおずおず唇を開く。
「どうやったら、東大、合格しますか?」
今の状態のヴィヴィの最大の関心事は、それに尽きる。
なにせ、2ヶ月後にはセンター試験が控えている受験生なのだから。
「クリスを信じて、勉強あるのみ」
いきなり真面目な表情でそう強く発した匠海に、
「はいぃ~~……orz」
ヴィヴィはその腕の中でがくりとうな垂れた。
しかし、速攻突っ込む。
「――ってか、ちっちゃな胸って!」
(そうだけど! 本当だけど! 失礼にも程があるもんっ ふぇえええ~んっ)
「ああ、 “俺のお気に入りの可愛いおっぱい” の間違いだった」
言葉を訂正した匠海は、それを体現する様に、両手で妹の胸をやわやわと揉んだ。
「やっ やっぱり変態っ!!」
恥ずかしくて抵抗しようとしたヴィヴィだったが、意外にもあっさりと手を引いた匠海は表情を改め、ずいと妹の顔を覗き込んでくる。
「ところで――」
「ん……?」
「俺からも確認したい事がある」
「え……? なあに?」
兄に言う事に見当がつかないヴィヴィが首を捻っていると、匠海はその目の前でスマホを操作し、ある写真を画面いっぱいに表示して見せてきた。
「この男は誰だ? どういう関係だ? なんでお前の肩に親しげに手を置いている?」
兄が見せてきたのは約1ヶ月前に行われたNHK杯の、クロージングバンケットの写真だった。