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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
(お兄ちゃんが、悪いんだから……っ)
そう、匠海が悪い。
兄と躰の関係になったのは匠海が留学の為に渡英してからだから、兄妹は常に遠距離だった。
だから長い月日を経て再会出来た暁には、まるで互いを貪り尽くす様に毎日肌を合わせ、何度も与え合い。
最後のほう、ヴィヴィは精神的に不安定だったとはいえ、それでも週に何度も匠海の愛撫に溺れていた。
つまり、何が言いたいかというと、
(ヴィヴィ、お兄ちゃんの傍に居たら、毎日したくなっちゃう……っ)
それをここ数日、ずっと思っていたヴィヴィは、鏡の中の自分が物凄く欲求不満な表情をしている事に気付き、
「ふぇえ~~んっ ヴィヴィ、変態だ……っ!!」
と両腕で頭を抱える。
そして、結局受験生である現実からは逃れられず、11月14日(土)の本日は、
リンクで早朝から8時まで練習し、
9:00~18:30は最寄りの予備校で模試を受け、
またリンクへ直行し、23時近くまでレッスンに励む。
しかも今日受ける模試は、今まで4回受けてきた難関大本番レベル記述模試の最終回で、これを受けて初めて本試験の出題範囲を網羅するものだった。
(……コピーロボットが、欲しいの……)
ヴィヴィは現実逃避の1つとして、そんな妄想に耽ってみる。
1体には勉強に励んで貰い、
もう1体にはスケートの練習に打ち込んで貰い、
そして本体の自分は、何をして過ごすのかなんて――言わずもがな、だろう。
「…………むふふっ♡」
そう下らない妄想でストレスを発散したヴィヴィは、結局逃げられない現実に立ち向かうべく、ばしゃばしゃ豪快に顔を洗い、朝の支度を始めたのだった。
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※ コピーロボット
藤子・F・不二雄による、日本の漫画作品『パーマン』に登場する便利道具。
パーマン達が活動する間、留守のアリバイとして身代わりに使うロボット。