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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
そしてその日の日付が変わり――11月15日(日)の深夜1:00。
何故か白いワンピ姿で、しかもゴールドのサンダルを履いたまま自分のベッドに突っ伏して爆睡していたヴィヴィは、自分を抱きかかえる優しい腕に包まれて目を覚ました。
「……おにい、ちゃん……?」
そう自分を抱っこしている人物の名を呼べば、匠海は妹を運びながら申し訳なさそうに微笑んで見下ろしてくる。
「ごめんな、遅くなってしまって」
兄の寝室のベッドに降ろされたヴィヴィは、心配そうに匠海を見上げる。
「ううん……。お仕事、終わった……?」
「ああ、全てね。心配してくれてありがとな?」
そう言って頭を撫でてくる匠海に、ヴィヴィはにっこり微笑んで「良かったね」と囁いた。
実は1時間前。
兄の言い付け通りNHK杯で着用したワンピを纏い、匠海といちゃつく準備万端だったヴィヴィのところへ、1本のメールが入った。
『悪い。
帰りしなにダッドと役員に捕まって。
今、社長室に軟禁状態。』
それを見たヴィヴィは、「何事っ!?」と随分心配したのだが。
いつの間にか睡魔に負けて寝入ってしまったらしい。
そしてヴィヴィを見下ろしている匠海は、既に茶色のバスローブを身に纏っていたので、バスを使ってから起こしに来てくれたのだろう。
「本当に悪い……。お前、今日模試で疲れてるのに……。どうしても一緒に過ごしたくて、起こしてしまって。……悪いお兄ちゃんだな、俺は」
隣に腰掛けてそう謝ってくる匠海は、切なそうに眉尻を下げていて、ヴィヴィは思わず胸の中で「可愛いっ」と叫んだ。
「……うん。悪いお兄ちゃん……」
気持ちとは裏腹に、そう兄を責めるヴィヴィに、匠海は「ごめん」と更に謝ってくる。
ヴィヴィは金色の頭を小さく横に振ると、恥ずかしそうに兄のバスローブの袖を握り締める。
「でも、良い恋人さん、だよ……?」
「え?」
「だって、ヴィヴィ……、ずっと待ってたんだもん。お兄ちゃんの帰り……」
そして1週間ぶりに、匠海に身も心も思う存分愛されたい。
その気持ちを込めて必死に兄の灰色の瞳を覗き込めば、返されたのは嬉しそうな笑顔だった。