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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章
「ふっ 今のは気持ち悪かったな。ヴィクトリア、くるってその場で回ってごらん?」
「え……、恥ずかしい……よ」
ぽっと瞳の下を赤らめたヴィヴィに、匠海は妹の心を揺るがす甘い言葉を囁く。
「お願い。そしたらお前の言う事、何でも叶えてあげるよ」
「……なんで、も……?」
何故かより恥かしそうにそう確かめてくるヴィヴィに、兄は大きく頷いて促した。
「ああ、何でもだ」
その答えに勇気付けられ、ヴィヴィはゆっくりとゴールドのサンダルに包まれた細い爪先をずらし始める。
まるでコマ送りの様に兄の前で一周してみせたヴィヴィに、匠海は更に要求を口にする。
「ヴィクトリアの綺麗な肩甲骨が見たいから、髪を前に垂らしてごらん」
「え……、う、うん……」
(肩甲骨……? なんか、マニアック……)
ヴィヴィは言われた通り、右手を首の後ろにやり、右肩の前に全ての髪を寄せると、また同じ様に――今度はもう少しスムーズに一周して見せた。
大層ご満悦に微笑んでいる兄に手招きされ、ちょこちょこ歩いて傍に寄ったヴィヴィは、匠海に両手を握り締められ、その股の間に立たされた。
「ヴィクトリア、頼むから怒らないでくれる?」
「へ……?」
(怒る……? 何を?)
「だって言いたくて言いたくて、しょうがないんだよっ」
眉根を寄せて苦しそうにそう言い募る匠海に、ヴィヴィは心底不思議そうに首を傾げる。
「はあ……、何をですか?」
「やっぱり、ヴィクトリアは “お人形” みたいに可憐だ」
「え゛……っ」
まさかの兄の賞賛の言葉に、ヴィヴィは嫌そうに変な声を上げて絶句する。
「分かってる。お前が “人形” みたいと言われるのが、大嫌いだという事は、重々理解している。けれどしょうがないだろう?」
何故か異常な熱心さでそう主張してくる匠海に、ヴィヴィは若干引きつつ、尋ねてみる。
「な、何がですか……?」