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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第101章          

 けれど、優しいだけじゃないのが匠海という人で、

「その代わり」

「ん?」

「着た後にその恰好で、俺に抱かれること」

「……えぇっ!?」

 まさかの譲歩案に驚愕したヴィヴィに、匠海はその薄い唇をちゅうと吸い上げる。

「お前に誘ってるつもりがなくても、俺は誘われてしまうからね」

「え゛~~……」

「え~じゃありません。約束な?」

「うぅ……」

 夏など露出の多くなる季節。

 兄の言う通りにしていたら、ほぼ毎日のように抱かれる事になるような気がして、ヴィヴィは了承を渋る。

「嫌なら、着ちゃ駄目」

「……分かったよぅ」

 渋々頷いたヴィヴィだったが、その唇はつんと尖っており。

 そんなヴィヴィをからかう様に、匠海が色気むんむんに迫ってくる。

「逆に、俺とセックスしたいからって、わざと露出してもいいぞ?」

「それはありませんっ!!」

 先程心の中で思った事を言い当てられ、咄嗟に否定してしまったヴィヴィに、目の前の匠海がショックを受けた表情を浮かべた。

「ないのか……」

「えっ!? そ、そういう意味じゃ……」

「………………」

 焦って発言を訂正しようとするヴィヴィに対し、匠海は落ち込んだ様に妹の首筋にぼすっと音を立てて顔を突っ伏してしまった。

(え~~……、お兄ちゃんが、拗ねちゃったよ~……。…………、へへ、……可愛いなぁ)

 自分の言葉ひとつで、こんな可愛い姿を見せてくれるなんて。

 本当に匠海の恋人になれたんだなぁと、ヴィヴィは実感して嬉しさを感じ、それを兄にもあげたくなった。

「ヴィヴィ、お兄ちゃんが、す、好き……だよ?」

(っていうか、大好き、です……)

「……本当に?」

 くぐもった声でそう聞き返してくる匠海に、ヴィヴィは頷いて続ける。

「うん、好き、だし……、あ、愛してる」

「……ふうん」

 首筋に感じる兄の吐息がくすぐったい。

「だ、だから……。好き……だよ? お兄ちゃんと、……するの」

 匠海とセックスをするのが好き。

 そう言葉にしてしまい、ヴィヴィは顔が熱く火照ったのを感じた。

「ふうん?」

 まだ顔を突っ伏したままの匠海に、

「ほ、ホントだよ?」

と囁けば、やっと匠海は動き、ヴィヴィの耳元に唇を寄せる。

「じゃあ、おねだりしてごらん?」

「え……?」

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