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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章
「うん。やっぱりヴィクトリアの唇は可愛いよ。笑ってる時は可憐だし、普通にしている時は『この子は次に、どんな可笑しな事を言い出すだろう?』とワクワクさせられるし。でも一番俺が好きなのは――」
「…………?」
そこで言葉を区切った匠海を、ヴィヴィは不思議そうに首を傾げて見つめなおす。
「やっぱり、拗ねている時かな。この薄くてピンク色の唇がつんと尖って。たまに小生意気な事を口走ったりして。でも全身から『構って、構って!』ってオーラが物凄く出ていて。『ああ、その小悪魔な唇を、俺が塞いであげようね』って思わず――」
「変態」
兄の睦言 = 変態語録 をそうバッサリ切った妹に、匠海は心底不思議そうな表情で見つめてくる。
「変態? どこがだい?」
「……なんか、全部……」
自覚ないのか……と、引き気味のヴィヴィに、匠海は何故か切れ長の瞳を輝かせる。
「ふ……、そうやって、怯えてひくついてる薄い唇も、大好物だよ」
「……~~っ!?」
(やっぱり、変態だっ!!)
ドン引きして兄の首に絡めていた両腕を解こうとしたヴィヴィを、匠海はその腰を素早く絡め取り、深い口付けを与え始める。
中を熱くぬめった舌で掻き回されて、舐め取られ、時に擽られ。
離れがたそうに、薄い唇を兄のそれで挟まれて、引っ張られ、何度も吸い上げられて。
ヴィヴィの細い両腕が、再び兄の首に巻き付き、その上の黒髪をか細い指先で掻き回す。
(ぁん……、すき……っ 大好きっ)
こんなに匠海に愛して貰えるなら、コンプレックスだったこの唇も、少しは好きになれるかもしれない。
「ふ……、ぷっくりしたね」
その兄の指摘に、ヴィヴィは舌を出して上唇を辿ってみる。
「なんか、熱いの……」
舌先に触れるそこは、熱を持っている感じがした。
散々吸い尽くされた唇も、
互いに吐き出す吐息も、
布越しに触れ合った、互いの躰も、
全て熱くて……。
(……お兄ちゃんと、ひとつに、なりたいの……っ)
その気持ちを込めて匠海の瞳を覗き込むと、吐き出されたのは、より妹をその気にさせる言葉。
「こんなに可愛いのに、色っぽいって、反則だろ……」
常より掠れた兄の声音に、それが匠海の本心だという事は、容易に計り知れた。