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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章
「本当に?」
「うん……」
こくりと頷いたヴィヴィに、匠海がその細い首筋に唇を寄せながら続ける。
「それは、本当に明日が、待ち遠しいな……。ふ……、俺の腕の中で、ヴィクトリアが甘い声を上げるの、想像するだけで」
「…………だけ、で?」
続きが気になって、そう確かめてしまったヴィヴィに、
「ふふ、秘密」
エロさ全開でそう嗤った兄に、ヴィヴィはその逞しい胸に両手を付き、ばっと離れた。
「~~っ!? へ、変態っ!」
なんだか最近、兄に対してすぐ「変態」と突っ込むのが、口癖になっているヴィヴィだった。
「全然、変態じゃないだろう? 男なら当然の事だ」
そう自分の正当性を主張する兄の前で、ヴィヴィは自分の両耳を掌で押さえる。
「し~ら~な~い~っ き~こ~え~な~い~っ!!」
「ヴィクトリア?」
「………………」
(ふ~んだ。ヴィヴィ、聞こえないもんね~だっ)
両耳を押さえながら、つーんと横を向くヴィヴィは、本当に高校3年生なのだろうか。
「ほう、だんまりを決め込むか? なら、こちらにも手があるぞ?」
「………………?」
兄のその言葉に、ヴィヴィは頭の中で首を捻る。
「あまりにもベタ過ぎるが、口を利かないなら、躰に聞くという手もある訳で――」
そう言いながらヴィヴィの剥き出しの太ももに、大きな掌を這わせ始めた匠海に、
「はいはいっ 利きますっ 口利きますっ!!」
ヴィヴィは速攻降参し、両手を耳から離した。
「ああ、ヴィクトリアの可愛い声が聞けた」
してやったりと笑う匠海に、ヴィヴィは頬を膨らます。
「もうっ 意地悪っ」
そんな妹の頬を、指先でぷにぷに突きながら、匠海が続ける。
「ヴィクトリアの、少し高めでちょっと細い声、好きだよ」
「…………っ」
息を呑んだヴィヴィの目の前、匠海は整った顔に不釣り合いな、にやけた表情を浮かべ、
「ヴィクトリアのその声で “お兄ちゃん” って呼ばれると、……ぞくぞくする」
「~~っ!? やっぱりシスコンの変態っ!」
(お、お兄ちゃんって、こんな人だったっけ……っ!?)
目を白黒させてそう突っ込むヴィヴィに、
「違うよ。分かってるだろう? お前が一番」
急に真面目な声を発した兄に視線を合わせれば、その灰色の瞳は真っ直ぐヴィヴィを射抜いていた。