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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章            

 12月4日(金)。

 早朝4時に起床した双子は、30分後には屋敷を出発し、5時過ぎに羽田空港に到着した。

 空港ラウンジで仮眠を取り、6:10に離陸した航空機は遅れもなく、新千歳空港に7:40に到着した。

 そこから車にて1時間移動後、グランプリ・ファイナル2020の会場である、真駒内セキスイハイム・アイスアリーナに到着し、手早く諸手続きを済ませ。

 スケート連盟のスタッフや大会関係者が双子の到着にほっと胸を撫で下ろす中、粛々とアップを済ませた双子は各々、午前中いっぱいリンクの使用可能な公式練習に参加した。

 氷の感触、リンクの広さ、SPの音かけでのランスルー。

 時間ぎりぎりまで使って確認し、一旦ホテルへと移動した。

 スケジュールがあり得ないほど強行過ぎる?

 そんな事は百も承知。

 なにせ双子はセンター試験まで、もう1ヶ月半を切っているのだ。

 スケートの試合と大学受験。

 天秤に掛けてはいけないかもしれないが、やはり比重は一生に一度の大学受験のほうが、重く優先されてしかるべきであろう。

 ヴィヴィは部屋で仮眠を取ると、垣田トレーナーにマッサージを受け、湯を使い、SPの準備を着々と進めて行った。

 グランプリ・ファイナル。

 それは、6カ国で行われるグランプリシリーズを勝ち抜いた上位6名(組)の選手達、その頂点を決める戦い。

 10月3週目のNHK杯、4週目の中国杯で首位に立った双子は、誰よりも早くその出場権を手にしていた。

 そして、各国のメディアでも「もうこの双子がアベック優勝するので間違いないだろう」という報道がされているらしい。

 ただ、楽な戦いで無い事は確かで。

 選手層の厚いロシアから、今シーズンシニアへ上がってきた女子シングルの10代の選手が1人、ファイナルの切符を手にしており、この大会のダークホースと噂されている事は、ヴィヴィの耳にも入っていた。

 若い子は難度の高いジャンプを、ポンポン決めてみせる。

 ヴィヴィも17歳なので充分若いが、シニアに上がりたての15歳の時と比べると身長は伸び、体重も体脂肪も殆ど変化が無いとはいえ、やはり身体つきは大人のそれへと近付いている。

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