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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章            

 少女が持ってきたのは “合格必勝” のハチマキをしたイラっくま、で。

 それをクリスにも見せて面白がったヴィヴィは、最後にテレビカメラへと向けてクリスと一緒に手を振る。

「HI Guys! Let's do our best in studying for an examination together!! 皆さん! 一緒に受験勉強、頑張りましょう!!」

 全国の受験生にそうエールを送り、読み上げられた点数と順位を確認したヴィヴィは、至極満足そうにキスアンドクライを立った。

 バックヤードへ下がるヴィヴィに、上の客席からプレゼントを落とされたり。

 スケ連のスタッフと熱いハグを交わしたヴィヴィは、恒例となっている、放映権を持つテレビ局のブースへと移動した。

「では、放送席。ショート1位で演技を終えました、篠宮ヴィクトリア選手です、お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

 マイクを差し出してくる男性アナウンサーに、ヴィヴィは前髪の下に浮き出た汗を拭いながらお礼を言う。

「演技の最後は大きな拍手が、札幌の観客から沸き起こりました。内容はどうだったでしょうか?」

「ええと……、エレメンツに関しては、特に大きなミスなく……といった感じで。ああ、でも、フリップ降りて、少し流れが悪かったかなと……。後は、アクセルを降りた瞬間に、お客さんの歓声で……、ふふ、曲が聞き取れなくなって……、嬉しい、名誉な誤算? って感じでした」

 こてと金色の頭を倒しながら笑ったヴィヴィに、アナウンサーが大きく頷く。

「ええもう、篠宮選手の演技で、会場が一つになったという印象を受けましたが?」

「そう、です、かね……? ほんと、ありがたいです。ショート、凄く手拍子しにくい曲だと思うんですけど……。お客さんがこう、頑張って、手拍子合わせてくれているのが視界に入って……。ああ、凄く応援して頂けて、嬉しいなって」

 ヴィヴィがコミカルに拍をずらしながら手拍子する様に、アナウンサーや周りのスタッフが吹き出す。

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