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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章
「さて、明日のフリースケーティングに向けては、どの辺りがポイントになってきますか?」
「そうですね……、やはりジャンプでまずミスなく、まあ、あの前の大会で修正してきた部分を含めて、きちんと滑る事が出来れば……。ん~、後は結果はついてくるものだと思うので。まずは自分が出来る事に、しっかり集中して臨みたいと思います」
一つひとつ慎重に言葉を選び答えるヴィヴィに、アナウンサーがズバリと切り込んでくる。
「3回転アクセルは、飛ばれますか?」
「ん~~、の、予定です。今のところは……、ふふっ」
そう最後は笑って誤魔化したヴィヴィだった。
「そうですか。応援しています、お疲れ様でした」
「ありがとうございましたぁ~」
間延びした声でお礼を言ったヴィヴィは、その後、各社の記者の囲み取材、海外メディアの対応を熟し。
19:35から始まった男子シングルのクリスの応援に、精を出したのだった。
翌日、12月5日(土)。
15:15からの女子シングルで、ヴィヴィは単独の3回転アクセルを着氷し、コンビネーションは3回転フリップにして、FPもトップの総合優勝を。
18:40からの男子シングルでは、クリスが前日のSPに引き続きFPでも首位に立ち、2人とも3回目のグランプリ・ファイナルを制した。
実は今日のFPだけ観戦に来てくれていた匠海は、クリスの演技後すぐに会場を後にし、23:30に羽田空港に到着する便で帰宅したらしい。
翌6日(日)の夕方からエキシビションに出演し、夜のクロージングバンケットに参加した双子は、7日(月)の朝に新千歳空港を経ち、9:40に羽田空港へ到着し。
そしてその足で学校へと直行すると、学生の本分を自分達に思い出させるかのように、受験勉強に打ち込んだのだった。