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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章            

「……ごめん」

「………………」

 ぼそりと上から降ってきた兄の謝罪の言葉に、ヴィヴィは微動だにしなくて。

「からかい過ぎたな。本当にごめん」

 そう謝りながら、妹のナイトウェアに包まれた躰を胸に抱き込んだ匠海に、

「……きら、い……」

 腕をだらりと下したままのヴィヴィが、再度その言葉を口にする。

「そんな哀しいこと、言わないでくれ」

「……ヴィヴィばっかり、なんだもん……」

「え?」

 抱き締めてくる匠海の胸に涙が溢れ落ちそうな目蓋を押し当て、ヴィヴィは心の内を吐露する。

「ヴィヴィばっかり、お兄ちゃんと一緒になれるの、心待ちにしてて……、ヴィヴィばっかり、2週間、ずっと……っ」

 先週の半分以上を試合で札幌にいて、匠海に会えなくて、週に1度のセックスも出来なくて。

 2週間ぶりに兄と愛し合えると浮かれて喜んでいたのは、自分だけだったのか。

 更に落ち込んだヴィヴィの二の腕が、兄の掌に握られ、その胸から離された。

「お前、それ、本気で言ってるのか?」

 そう確認してくる兄の声が、思いのほか硬くて。

 ヴィヴィはびくりと躰を震わすと、恐るおそる兄を見上げ、くしゃりと顔を歪ませる。

「…………だってっ」

「あのなあ……。俺は出来るなら、毎日ヴィクトリアを抱きたいんだよ?」

 少し呆れた様な表情と共に零されたその兄の言葉に、ヴィヴィは目を丸くすると、混乱した様に瞳を四方八方へと泳がせ、呟いた。

「…………無理☠」

(死にます……)

 虚ろな瞳をしたヴィヴィに、匠海がこつりと頭突きして続ける。

「だろう? ヴィクトリアだけが俺と愛し合いたいって思ってるんじゃない事は、分かってくれる?」

「…………ん……」

「ありがとう。……さっきのは、あれだ……。俺の方が、今ヴィクトリアにフェラされたら、我慢出来なくなりそうで……」

 恰好付かないのか、そう呟いた匠海は嘆息し、困ったようにヴィヴィを見下ろしてきて、

「……我慢……、なんの……?」

 不思議そうに兄の瞳を覗き込むヴィヴィに、

「じゃあ、ここで問題です」

 いきなりそんな事を言い出す匠海に、ヴィヴィは呆気に取られる。

「……はあ……?」

(……問題……って、何の?)

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