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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第102章
「え、えっちなの……、じゃ、ないよ、ね……?」
その再度の確認に、匠海が何故か語気を強めて主張してくる。
「馬鹿。エロくない下着は下着じゃないっ」
「え゛ぇ~~…… orz」
(絶対、着たくないんですけど……)
脱力する妹の金色の頭を、匠海がよしよしと撫でながら、フォローを入れてくる。
「大丈夫。それでなくても可愛いお前が、天使の様に可憐に着こなせるもの、選んであげるから」
「…………は、はい」
もう何を言ってもも無駄だと、ヴィヴィは達観の境地で渋々頷いておいた。
「あ……、お兄ちゃんは、クリスマスプレゼント、何がいい?」
多忙とはいえ、恋人のクリスマスプレゼントを用意することを失念していたヴィヴィは、焦ってそう尋ねる。
「それを着てくれるだけでいいよ。お前は受験も試合もあって、超が付くほど多忙なんだからね」
労わる様な微笑でそう言ってくれた匠海に、ヴィヴィは眉をハの字にして謝る。
「……ごめんね?」
(今は本当に忙しすぎて……、お買い物にも行けないの……)
そんなヴィヴィに、匠海は首を振って逆に聞き返してきた。
「お前のほうは、何が欲しい?」
「……いらない……」
そう静かに返事したヴィヴィに、匠海が不思議そうにその顔を覗き込んでくる。
「いらない?」
「お兄ちゃんがいてくれればもう、それ以外、いらないの」
それはヴィヴィの本心。
物なんていらない。
これからずっと、誕生日もクリスマスも、何かの祝いも、物はいらないから、匠海の傍に居させて欲しい。
「ヴィクトリア……」
あまりにも無欲な事を言うヴィヴィに驚いた様に、匠海は眉を顰めて見下ろしてきた。
そんな兄の首に両腕を伸ばして絡めたヴィヴィは、うっとりと耳元で囁いた。
「お兄ちゃんが、好きなの……」
ぎゅうと抱き締める腕を強めたヴィヴィに、匠海が幸せそうに返してくれる。
「俺も。愛しているよ、ヴィクトリア」
けれど兄の愛の言葉に、ヴィヴィはばっと抱擁を解き、
「あっ! ヴィヴィも、ヴィヴィも “愛してる” のっ!!」
ムードぶち壊しでそう対抗したヴィヴィに、匠海は破顔し、
「俺のほうが先に言ったから、勝ち」
大人気ない勝利を宣言した匠海に、ヴィヴィはつんと唇を尖らせる。