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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
けれど、
「ち、ちがう~~……」
何故か兄の言葉を否定したヴィヴィ。
「ん?」
「今日のヴィヴィは、サンタさん、だもん……っ」
優しい相槌を寄越す匠海に、ヴィヴィは両手で脚の付け根を隠しながら、そう主張した。
(だって今日は、お兄ちゃんと恋人関係になれて、初めてのクリスマス、だもの……)
プレゼントも何も用意出来なかった、恋人としては駄目ダメな自分だが、少しでも匠海を悦ばせ、クリスマス気分を味あわせてあげたかった。
「そうだね。俺に幸せを届けてくれる、真っ白なサンタだ」
そう答えた匠海は本当に幸せそうに微笑んでくれて、それを目の当たりにしたヴィヴィの薄い胸がとくりと甘い疼きを訴えた。
傍においでと言われ、兄の2m前で止められたヴィヴィは、しばらくそのままそこに立っていたが。
「……お兄……ちゃん……」
「ん?」
「……えっと……あの……」
(どうして、見てるだけ、なの……?)
痛いほど兄の視線を全身――頭の先から爪先まで感じていたが、それが数分も続くと、ヴィヴィも手持無沙汰になってしまって。
言いあぐねている妹に、匠海は腰を下ろしているベッドに後ろ手に両手を着き、しみじみと呟く。
「……? しかし可愛いな。もうガラスのケースに入れて、永久保存しておきたいくらい、似合ってるよ」
「や……っ 見てる、だけ……?」
本当は今すぐ兄の胸に飛び込んで、ぎゅってして欲しいヴィヴィは、そう淋しそうな声を上げたが、匠海は譲らなくて。
「いいや。存分に目で愛でてから、沢山愛してあげるよ」
その、1分後。
「………………まだぁ……?」
そう恥ずかしそうに呟くヴィヴィに、匠海は笑う。
「まだまだ。ヴィクトリア、その場でくるって回ってごらん?」
「え? やぁ……っ」
「どうして?」
兄のその問いに、ヴィヴィは瞳の下を桃色に染め、両手を添えている恥丘の前できゅっと握り締めた。
「……っ やだぁ……っ」
(だって、Tバックなんだもんっ ま、丸見えなんだもんっ)
正確にはπだから、Tではないが。
「ほら、くるって全身見せてくれたら、可愛がってあげるから」
「……ほん、と……?」
兄のその誘導に、ヴィヴィは恐るおそるそう確認する。