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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
もう正直、その後の事はあまり覚えていない。
頭の片隅で、「あれ……? 今日は2回って言ってなかったかな……?」と疑問に思う事すら、どうでもよくなるほど兄に気持ち良くして貰い。
最後のほうは、吐息しか吐き出せない程正体を失ったヴィヴィは、兄に揺さぶられながら脳内で1つの曲を紡いでいた。
Ah! réponds à ma tendresse,
ああ! 私の愛に応えて
Verse-moi, verse-moi l'ivresse!
私に注いで 私に満たして あの陶酔を!
Réponds à ma tendresse.
私の愛に応えて
Réponds à ma tendresse.
私の愛に応えて
Ah! verse-moi, verse-moi l'ivresse!
ああ! 私に注いで 私に満たして あの陶酔を !
歌劇『サムソンとデリラ』に於いて、悪女デリラが歌うアリア(独唱曲)――“あなたの声に私の心は開く”。
以前ヴァイオリンで奏でた事のあるフランス語の歌詞と、自分の今の状態とを重ね合わせてしまう――あまりにも直接的すぎるそれ。
「ぁあっ ヴィクトリア、……出すよっ」
「……ぁ、ふ、ぁああああん……っ!!」
もう何度目か分からない白濁を最奥に注ぎ込まれ、ヴィヴィは自分で立ち上がれなくなってしまった。
全身が甘い痺れで言う事を聞かず、こんなにした後でも元気な兄に、バスを使わせて貰い。
バスタオルを躰に巻いてベッドへと運び込まれたヴィヴィは、枕の山に背を預けながら、兄が寝室から出ていく後姿をぼんやりと眺めていた。
(ヴィヴィ……、相当、えっちになった気がする……orz 絶対ぜったいっ お兄ちゃんのせいだっ)
そう心の中で匠海のせいにしてすっきりしたヴィヴィだったが、思考は匠海の事からFPの事へと流れて行き。
(デリラってさ~……、本当にサムソンのこと、なんとも思ってなかったのかな~? だとしたら、こんな歌うたえるなんて、悪女そのものか、かなり狂信的な信者でもなければ、無理そうだけど……?)
「う~~ん……」
黒い枕の山に埋もれて唸り声をあげていると、寝室に戻ってきた匠海が、ベッドに上りながら不思議そうに尋ねてくる。
「ん……? どうした?」