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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
「うん……、サムソンはさ……、どうしてデリラに、秘密、教えちゃったんだろうと思って……」
「……はぁ……? いきなり、何を言い出すかと思えば」
手にしていたペットボトルの蓋を開けた兄は、妹にそれを与え。
ミネラルウォーターで、カラカラだった喉を潤したヴィヴィは、礼を言って匠海に返した。
「だってね。サムソンはデリラに裏切られていること、気付いてた訳じゃない……?」
兄の言葉など一切耳に入っていないように、頭の中を占拠している疑問を口にする妹の、ころころ話が変わるのは慣れっこな匠海は緩慢に頷く。
「……まあ、そうだな」
イスラエル人の怪力サムソンと、彼らの宿敵であるペリシテ人の悪女デリラ。
ペリシテ人達はサムソンを倒す為、彼が惚れたデリラを銀1100枚で買収する。
デリラ 『ねえ、ダーリン。どうしたら貴方は弱くなるの?』
サムソン「そうだね、ハニー。乾いていない新しい弓弦七本で、縛ればいいんだよ」
→ 失敗。
デ『ダーリン! 私を騙したのね? 悪い人っ 今度こそ教えて?』
サ「ごめんよ、ハニー。まだ一度も使ったことのない新縄で、しっかりと縛れば弱くなるよ」
→ 失敗。
デ『もうっ! ダーリンっ 私をおちょくって楽しいの?』
サ「冗談だよ、マイハニー。俺の髪の毛7房の髪の毛を織り込んだ布を、釘で留めればいいのさ」
→ 失敗。
デリラはサムソンに怪力の秘密を探ろうとするが、サムソンは3度も嘘を吐き、そしてデリラもサムソンの言った通り3度もそれを試していた。
デ『貴方の心は私にはないのに、どうしてお前を愛しているなどと言えるの? もう3度も貴方は私を侮り、怪力がどこに潜んでいるのか、教えてくれなかったわ!』
4度目にそう責めながら、来る日も来る日も泣き縋ったデリラに、サムソンはとうとう真実を口にしてしまう。
サ「俺はナジル人(神に選ばれし人間)として神に捧げられているから、頭にかみそりを当てたことがない……。髪の毛を剃られたら、俺の力は抜けて、並の人間のようになってしまう……。さあハニー、真実を言ったんだから、エッチしよ?」