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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
「だって、敵のサムソンを憎んでるなら、寝てる時にでも殺しちゃえたじゃない? でもそうしなかったのは、自分に愛を囁くサムソンの中では 神>デリラ という事が許せなくて。サムソンにとって唯一の神を裏切らせて、“自分だけへの絶対的な愛” を見せる事だけを求めた……」
そして結局デリラは、デリラ>神 という気持ちを見せてきたサムソンを裏切ったのだから、その本心は結局解らないが――。
「そうかもしれないな……」
「そっか……。互いに孤独だったんだ。……そっかぁ」
ずっと今シーズン、腑に落ちなかった疑問がすっきり解決した気がして、ヴィヴィは満足そうにこくこく頷いた。
「納得した?」
「うん。これでFPは思いっきり滑れそう~」
子供っぽく両手を上げて喜んで見せた妹に、匠海がごつりと頭突きしてくる。
「それはようございました。ところで、今、俺は “孤独” なので、構ってくれませんかねぇ?」
「あ゛……っ ごめんなさい。ヴィヴィ、自分のことばっかりでっ」
セックス後のベッドで、自分の思考に兄を付き合わせてしまったことに慌てたヴィヴィは、両腕を伸ばして匠海の首に縋り付き。
ひょいと股の間に横抱きされたヴィヴィは、その視線の先に落ちていたものに気付くと、にやりとほくそ笑んだ。
「うふふっ」
そう笑いながら匠海の黒髪の上に白い花冠を載せたヴィヴィは、大人の男 & 少女に似合う花冠 の組み合わせにケタケタと笑い転げた。
「こら、悪いKitty(にゃんこ)めっ」
「可愛いの♡」
ほっぺを抓ってくる匠海に、ヴィヴィは心底嬉しそうな微笑みを浮かべる。
「もっかい抱くぞ?」
「え? やっ む、無理ぃ……☠」
そう焦ったヴィヴィは、兄の頭の上から花冠を取り上げると、自分の頭の上に載せ、にやっと笑ってみせた。
「まったく……。天使かと思えば小悪魔で、小悪魔だと思えば、ただの『お子ちゃま』か」
その兄の突っ込みに、ヴィヴィは散々「『お子ちゃま』じゃないっ!」と反論していたが。
「あ……、言い忘れてた!」
「うん?」
大切な事を思い出したヴィヴィは、尖らせていた唇を引っ込めて、表情を改めて匠海を振り仰ぐ。