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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第24章                         


 ヴィヴィは大きく息を吐き出すと、両手を優雅に上げる。そしてゆったりとした動きでポーズを取ると瞼を伏せた。

 ティンパニをはじめとする打楽器の激しい打音と、弦楽器の切羽詰まった音が広いアリーナに響き渡る。ヴィヴィは掌の下に十五センチほど垂れた赤いベールで顔の大部分を覆った中、印象的に除く灰色の瞳をゆっくりと開く。

 そして徐々に下された掌から現れたのは無邪気に微笑むヴィヴィの顔。その表情とは対照的に妖しくくねらされた両手は細い腰へと下ろされ、氷を蹴る。そして一気にトップスピードへと乗り、管楽器が奏でるファンファーレに合わせて軽やかにトリプルアクセルへと踏み切った。 





 
 翌日。

 新聞やテレビ、インターネットは、見事金メダルを獲得した日本チームを大きく取り上げていた。中でもチームを優勝に導いた双子は大々的に賞賛された。

『単発のトリプルアクセルは大きな加点を貰える出来栄えで、さらにトリプルアクセルとトリプルトゥーループの大技! こんなに易々とアクセル飛ばれたら、正直他の選手は太刀打ちできないでしょうね』

 興奮したように元スケーターの小田信成が技の解説をしていく。

『それになんと言っても、初お披露目だった「サロメ」は我々の想像の斜め上を行っていましたね?』

 コメンテータの男性が発した言葉に、小田が食いつく。

『そうなんです! こちらをご覧下さい。「サロメ」のストーリーをまずおさらいしましょう』

 画面が切り替わり、オペラのサロメの映像を流しながらストーリー説明が簡単になされる。

『とまあ、かなり残酷な話なんですね。話題に上っている斬新な衣装も、よくそれを表現していると思います』

『今まであまり聞いたことないけれど、フィギュアでは馴染みのある題材なんですか?』

 司会者の女性アナウンサーの疑問に小田は首を振る。

『いいえ、めったに取り上げない題材です。もともと……予言者ヨカナーンを好きになったサロメ王女が、思い通りにならないと義父のヘロデ王に「ヨカナーンの首が欲しい」と強請るという――かなりシュールな世界観で、爽快感みたいなものはないのでとても表現力を求められる作品なんです。いかにその独特の「背徳感」を感じさせられるか――そこが大きな一つの鍵になるのではないでしょうか?』

 そう締めくくった小田に、出演者たちが各々頷く。
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