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第103章 　 　　 　　　 　 　

『現時点、ＦＰ終わって１位は本田で総合得点１７２．４３。篠宮はＳＰ６５．８１から、ＦＰの点数、何点伸ばしてくるのか――。キスアンドクライです』

　画面がキスアンドクライのソファーに座りこんだ、双子とジュリアンを映し出す。

　そして次の滑走者である宮平知子の姿が、フレームインする。

『現在、ＳＰトップの宮平が、次の滑走順で準備を始めまています』

「これだけの演技の後、沸き立ったリンクで滑るのは大変です。落ち着いて頑張って欲しいですね」

　八木沼が少し心配そうに、宮平にコメントした直後、

「篠宮ヴィクトリアさんの得点――１３７．３４。総合得点――２０３．１５。現在の順位は第１位です」

　場内に女性の声でアナウンスがなされ、会場がわっと大きな歓声と拍手に包まれた。

『４年連続の全日本制覇が、これで見えました！　高い点数、２００点台を超えてきました！　２０３．１５――！　こうでなくっちゃ、全日本ではない！　そしてこの後の滑走は、渦中の宮平知子です』

　画面の中、ヴィヴィが立ち上がって両手を振っているのが映っていた。

「素晴らしい得点ですね。よく自分をコントロールして、正念場で力を発揮したと思います」

　八木沼のその賞賛の言葉に、塩原アナウンサーがしみじみと続く。

『２年前の五輪シーズンでの、今井春香（27）の引退。昨シーズン限りで引退した村下佳菜子（26）――。これから日本の女子シングルを牽引して行くのは、紛れもなくこの人でしょう、八木沼さん』

「そうですね。そしてワールドスタンディング（世界ランキング）６位の宮平知子選手（22）も、その１人でしょう。その次は、２４歳でベテランの域に入った本郷理香選手、大場雅選手（23）と続きますが……」

　そこで言葉を濁した八木沼に、塩原が相槌を入れる。

『今大会の最終グループの、メンバーですね？』