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第103章 　 　　 　　　 　 　

『ＳＰとＦＰ２つを揃えたいというのが、篠宮選手の目標だと思いますが。今後、どう繋がって行きますか？』

「ん～……。ショート・フリーと全日本、滑ってみて、課題も見つかりましたので。次の試合に向けて、まだまだもっと向上して行かないと、世界では通用しないなと……、そう、改めて思いました」

　冷静にそう分析したヴィヴィは、肩を竦めて微笑んでみせた。

『会場は興奮の手拍子に包まれました。篠宮選手には届いていましたか？』

　その女子アナの言葉に、ヴィヴィは少し戸惑った表情を浮かべる。

「いえ……。ええと、いつもはちゃんと耳に入ってくるんですけど、お客さんの拍手なんかが……。今日は全然入ってこなくて。やっぱりショート２位だったので、自分でも知らず知らず、緊張してたのかな、と、はい。思います」

『この全日本を経て、篠宮選手自身、見えてきたものは、ありますか？』

「ええと、次は――この試合で出場権が確保出来たら――世界選手権で……。その頃には受かっていても落ちていても、受験は終わっているので」

　そう言って少し身体を左右に揺らしたヴィヴィに、女子アナが驚いた様に聞き返してくる。

『え？　そうなのですか？』

「はい。ふふ……。もう、思い切って、今シーズンで培った全てを次にぶつけたいですっ　まあ、出場出来るなら、ですけれど……」

　最後は頼りなく、笑って誤魔化したヴィヴィだった。

『日本中のフィギュアファンが期待しています。お疲れ様でした』

「はい、ありがとうございました！」

　そうお礼を言ったヴィヴィの顔は、やれることはやりきったという、吹っ切れた表情だった。



　そして、全日本選手権の結果は――、

　１位　篠宮　ヴィクトリア

　２位　宮平　知子

　３位　本郷　理香

　となり、それにより、今後の世界大会に派遣される選手は、以下の通りに決定した。

　世界選手権２０２１　――篠宮　ヴィクトリア、宮平　知子、本郷　理香

　四大陸選手権２０２１――宮平　知子、本郷　理香、大場　雅

　ちなみに双子は、その１週間後に東大の前期試験を控えている為、四大陸の出場は免除された。