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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
そして、12月29日(火)には、メダリスト・オン・アイスというアイスショーが開催された。
・全日本選手権 1位~3位の選手
・全日本ジュニア選手権 1位~3位の選手
・世界選手権、四大陸選手権、世界ジュニアの代表選手
が出場する事の出来るエキシビション。
生演奏とフィギュアスケートのコレボレーションという、贅沢過ぎるそのショー。
指揮者は演技を見ながら音楽をコントロールし、選手はその演奏を肌で感じながら演技をする。
ヴィヴィも高畑大輔に振付けて貰ったエキシビションナンバー、『TAKE FIVE』をJAZZの女性シンガーに歌い上げて貰う中で演技し。
まさに演技と音楽が渾然一体となった、素晴らしい体験をし、今年最後の試合に幕を閉じた。
2021年1月1日(金)。
「掛け巻くも畏き 産土大神(うぶすなのおおかみ)の大前に――、恐み恐み(かしこみかしこみ) も白さく――」
厳かに和太鼓が打ち鳴らされた後、粛々と進められていく神事。
元旦のその日、篠宮家の5人は、学問の神様として知られる菅原道真(すがわらのみちざね)公を祀ってある湯島天神へ、初詣へとやって来ていた。
白色の斎服と黒冠を纏った神職の上げる祝詞(のりと)に、耳をそばだてて聞き入っていたヴィヴィだったが、「かしこみかしこみ……」くらいしか聞き取れず、そのうち視線だけできょろきょろし始めた。
脇に2名控えている巫女が向かっている雅楽の楽器のほうに、興味津々だったのだ。
「お祓いいたします」
そう発して双子の目の前で、御幣(ごへい)――白紙が挟まった棒、をばさばさと振り始めた神職を、匠海を除いた篠宮家の4人は頭を垂れることも無く「じい~」とがん見し。
20分ほどで終了した、双子の合格祈願の拝殿祈祷。
木札、学業のお守り、学業成就鉛筆などを頂き、一行は総ヒノキ造りの拝殿を後にした。
「クリス、神主さんが何言ってたか、分かった?」
振袖姿のヴィヴィが、隣の羽織姿のクリスにそう尋ねる。