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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
「問4、解説授業で詳しく説明していたから、ちゃんと確認しておいて……?」
「分かった。ありがと」
クリスのアドバイス通り、集中して解説授業60分×2コマを2倍速で確認したヴィヴィは、その後もディナーの時間まで勉強に励んだ。
センター試験まで2週間に迫ったこの日。
「一緒に追い込みしようよ~」という円からのお誘いで、篠宮兄妹と真行寺兄妹がここに集っていた。
5人揃ってダイニングルームでディナーを取り始めてすぐ、クリスが円に質問する。
「マドカ……、第2志望は、早稲田の法学部……?」
「うん、そうだよ~。ヴィヴィは、えっと、慶応の法学部だったよね?」
以前LINEでやり取りしたその会話に、ヴィヴィは頷く。
「うん。クリスはね、東大一本なんだよ。凄過ぎる……っ」
「万が一落ちても、浪人するからいい……」
そう言い切ったクリスに、ヴィヴィは目を白黒させ、円は「ま、そうだろうね」と納得していた。
「あ、うちのお兄ちゃんは、慶応第2志望にしてて、何故か慶応落ちて東大受かった変人なんだよ~」
けらけらと笑いながら、真行寺の事を変人扱いした円に、皆が笑う。
「よっぽど、慶応の入試が肌に合わなかったのか?」
匠海のその問いに、真行寺も「よく解らない」と言った表情で続ける。
「う~~ん。自己採点では受かってたんですけど……。もしかしたら氏名、書き忘れてたのかもしれませんね」
そんな真行寺を、円が「ダサっ」と扱き下ろし。
「うわぁ、一刀両断……っ」
隣に座ったヴィヴィは、そう恐れおののいた。
ちなみに匠海は東大一本で、現役合格してしまった。
「マドカ……、第2外国語の選択、決めた……?」
クリスのその問いに、
「うん、もちろん!」
鯛のカルパッチョをオレンジジュースで飲み下した円が、大きく頷く。
クリスが言う “第2外国語の選択” とは、東大に合格してから選択する外国語の事で。
何故か毎年、前期試験の答案用紙に選択したい科目を書かされる為、受験者は合格する前からそんなことまで考えておかなければならないのだ。
特に円とヴィヴィは、将来外交官を目指しているため、多言語を操れるようになるのは必須、とされていた。