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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
辿り着いた先は、表参道にある父の会社の本社ビル。
篠宮ホールディングス㈱の子会社には、篠宮証券㈱、篠宮アセットマネジメント㈱、篠宮信託銀行㈱、篠宮ファシリティーズ、篠宮土地建物㈱、篠宮ファイナンシャル・プロダクツ・サービシズ㈱ 等々、国内だけでも15社……その他、世界主要国に子会社がある……らしい。
そして関係会社は、ジョンインベストメント証券㈱、篠宮資本市場研究所、篠宮総合研究所、篠宮不動産ホールディングス、黒澤火災海上保険、黒澤倉庫、黒澤証券 等がある……らしい。
詳しくは、ダッドか匠海かクリスか、創設者の英国の祖父に確かめて頂きたい。
きっと2時間ほど掛けて、こんこんとその沿革について語ってくれるだろう。
(ヴィヴィじゃ、覚えられませぬ……)
車から降りた双子は、地上50階・地下5階の、どでかいビルをぽかんと仰ぎ見る。
「お、おっきいね……」
「だね……」
首が痛くなって、紺色のダッフルコートのフードにはまっていた金色の頭を元の位置に戻すと、双子は紺色のローファーですたすた歩き出した。
自動の回転扉を抜け、吹き抜けのエントランスを進むと、綺麗な受付嬢がいらっしゃる受付の前で歩を止めた。
「こ、こんにちは。えっと、ダッド……、じゃなかった。篠宮……社長……? に会いに来たのですが……」
(ダッドの肩書って、なんだっけ? 社長? 取締役? 頭取?)
紺色のカチューシャをした金色の頭を、自信無さげに捻りながらそう発したヴィヴィに、受付嬢はにっこりと微笑んでくれた。
「お待ち下さいませ。……、CEOにご家族が面会にいらっしゃいました。……、はい、畏まりました」
目の前で電話連絡を取ってくれた彼女は、受話器を置いて双子を交互に見詰める。
「お待たせ致しました。そちらのソファーにお掛けになって、お待ち下さい」
「あ、ありがとうございましゅっ じゃなかった、ございますっ」
緊張で語尾を噛んでしまったヴィヴィは、頬を染めてそう言い直し。
「ドンマイ……。ちなみに、ダッドの肩書は “グループCEO” だよ……」
そう慰める言葉と共にクリスに背中を押されながら、すごすごとロビーにあるシックなソファーに腰を下ろした。