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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第103章
その後、篠宮一家は連れだって、隣のビルに入っている高級中華店に向かい。
「「中華と言えば、円卓でしょ!」」と主張する母と娘の要望通り、個室で上部が回る円卓を囲んだ。
父のおすすめのフカヒレ餃子、匠海のおすすめのエビ餃子。
他にも前菜、小龍包、スープ、北京ダックと、王道中華が饗される中、
「あははっ クリス、すごい顔っ」
そう笑ったヴィヴィが、自分のスマホでクリスの写真を撮る。
クリスは凄い猫舌で、小龍包等食べるまでに、えらく時間が掛かる。
レンゲに乗せた小龍包に穴を開けてスープを出し、それを眉間に皺を寄せながら、長時間「ふ~ふ~」しているのだ。
「ヴィヴィ‘S DIALYに、の~せよっと!」
きゃっきゃと楽しげなヴィヴィに、クリスは肩を竦め、やりたいようにやらせていた。
「貴方達、会社に来たの、いつぶりよ?」
食事もひと段落した頃、ジュリアンに聞かれた質問に、双子は顔を見合わせる。
「初等部2年……が、最後……?」とクリスが。
「うん。あれだよ、『お父さんのお仕事体験』。学校の宿題で出されたの」とヴィヴィが。
「ああ、あの時以来か」
父が昔を懐かしみ、灰色の瞳を細めて双子を見比べる。
「ダッド……、僕達ばっかり、構ってて。結局仕事してるとこ、ほとんど見れなかった……」
そう突っ込んだクリスに、ヴィヴィもその当時の事を思い出す。
「だったよね? それにクリスは、珍しいマシン見つけては、勝手に居なくなっちゃうし」
「ヴィヴィだって……。女性社員さんから、お菓子で餌付けされて……。その辺にお菓子のくず撒き散らしながら、ダッドの後、付いて回ってた……」
負けじと応戦してきたクリスに、双子を黙って見ていた匠海が吹き出した。
「あははっ なんか、凄く想像つくよ、2人のやんちゃぶりが」
「ホントよね~」
同意したジュリアンに、父も相好を崩す。
「もう、オチビちゃん達が、私の後ろをちょこちょこ着いて回るのが、恐ろしく可愛らしくてね? もう、その2日間は仕事にならなかったよ。役員会議も中止にしてしまったから、後々大変で……。本当にお前達の愛らしさと言ったら、破壊的だね?」