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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
今日と明日、双子はセンター試験を受ける。
双子の第1志望――東京大学の前期試験と後期試験の一次選考が、このセンター試験の結果だから。
ちなみにヴィヴィの第2志望――慶応義塾大学は、センター試験は受ける必要はなかったりする。
「ふぁ~~い」
生返事を返したヴィヴィだったが、睡眠時間もいつも通り4時間半とれて眠気もないし。
逆に二度寝したら、試験中に変な眠気が襲ってきそうで。
「……試験、9:30からか……。暇だな……」
双子の試験会場は、青山学院大学 青山キャンパス、つまり地下鉄で1駅の目と鼻の先だ。
ヴィヴィがそう呟いた時、クリスが2人の私室を繋ぐ扉を開けて入って来た。
「あ、おはよう、クリス。自分で起きれたんだね?」
にへらと緩んだ笑みを浮かべ挨拶したヴィヴィに、クリスはいつも通り無表情で。
「おはよ……。ヴィヴィ、ジョギングでも、する……?」
「あ、いいね!」
なにせ双子は、シーズン真っ只中の(一応)トップアスリート。
いつも通り朝から身体を動かさないと、本調子とならないのだ。
「まあ、それくらいでしたら。ではそれに合わせて朝食を用意するよう、料理長に伝えてまいります」
納得したらしい朝比奈は、そう言い置いて出て行った。
スポーツウェアに着替えた双子は、念入りにストレッチをすると、まだ日の上がっていない松濤の街へと走り出した。
40分ほど軽くジョギングして戻った双子は各々湯を使い、両親と匠海と揃って朝食を摂り。
家族と使用人一同からの激励を受けながら、屋敷を出た。
「ね~ね~、ダッドが カチカチ してた石、何?」
ベンツの後部座席、隣のクリスにそう尋ねたヴィヴィに、
「ん……。何だろう……?」
こちらも首を捻って、知らない様子のクリス。
「お坊ちゃま、お嬢ちゃま。あれは “火打ち石” と言うのですよ」
「「火打ち石?」」
運転手のその言葉に、双子が声を揃えて尋ねる。