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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 暖かなセーターの胸に抱き締められてほっと安らぎながら、自分からも兄の背に両腕を伸ばしたヴィヴィに、匠海がその耳元で囁いた。

「今日は添い寝しないから。お風呂入ったら、すぐに休みなさい」

「ん……」

 2人の間でしか聴こえない程の声量でそう言葉を交わすと、兄妹は抱擁を解いて微笑み合った。

 その傍で、朝比奈は主の就寝準備の為に、手を動かしていたのだった。







 1月17日(日)、センター試験 第2日目。

 昨日同様、早起きしてジョギングをした双子は、しっかり準備をして試験会場へと向かい。

 10:40~11:40  生物Ⅰ 
 
 13:30~14:00  数学Ⅰ・数学A 

 14:50~15:50  数学Ⅱ・数学B 

 上記のスケジュールで滞りなく試験を終えた双子は、屋敷で自己採点し、予備校の合否判定システムに登録して結果を待つ事となった。

 早めのディナーを両親と匠海と取り、やっぱりリンクへと向かった双子。

 だが、2日続けての非日常体験が重なり、すり減った神経のまま帰宅し、早々に眠りに就いた。
 
 そう。

 ヴィヴィも、「ちょっとだけ仮眠とったら、お兄ちゃんと♡ ……(-_-)zzz」とベッドの上で横になったが最後、泥の様に眠りこけ。

 翌朝、目が覚めた時にはきちんと羽根布団の中に納まっていたヴィヴィは、そのまま金色の頭を抱えた。

「あ゛ぁ……っ やっぱりお兄ちゃん、ヴィヴィを迎えに来てくれたんだ……」

 兄妹はいつも土曜日か日曜日に逢瀬を重ねていた――余程、どちらかに予定があって帰りが遅くなる、という場合を除いては。

 昨夜、ヴィヴィは兄の部屋に行く気満々で、仮眠を取ったのに寝入ってしまい。

 そしてヴィヴィが来ない、と迎えに来てくれたらしい匠海によって、ベッドの中にきちんと寝かせて貰った様だ。

 今は早朝5時。

 まだ兄は寝ている時間なので、メールをする事もはばかられ。

 リンクで朝食を摂る際に、匠海に下記のメールを送った。

『ごめんなさい。昨日、寝てしまって。
 
 ヴィヴィを呼びに来てくれたんだよね?

 本当にごめんなさい(´ノω;`)

 今日、お兄ちゃんのお部屋、行ってもいい?』

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