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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
何故か言いにくそうにしている親友を覗き込んだヴィヴィに、カレンは大人っぽい顔の前で両指を組み、必死の形相で発してきた。
「私、クリスとプロムっ 行きたいの――っ!」
「………………?」
カレンの言葉に、呆気に取られたヴィヴィは、ぽけっと彼女の顔を眺め返すだけで。
「えっと、ヴィヴィ……?」
反応の無い親友に不安そうに声を掛けてくるカレンに、ヴィヴィは金色の頭をこてと傾ける。
「ん? っと、ヴィヴィ、どうすればいいのかな?」
(ええと……、クリスと行きたいなら、クリス本人に言うべきかと……。ん……? でもプロムは、男子から女子を誘うのが慣例、だから――)
「……っ だって、きっとクリスは、ヴィヴィと行こうと、思ってるもんっ」
「あ~~、そうかも……。ヴィヴィも相手なんて、何も考えてなかったから。多分、同じ状況のクリスと “あぶれた者同士” 参加するのかと……」
カレンの指摘に、ヴィヴィは両手をぽんと合わせながらそう続け。
(ああ、なるほど。そういう事か……)
「んっと、じゃあ「ヴィヴィは、他の男子と行く」ってクリスに言えば、クリスも他の女子を誘うだろうから……、って……、相手が決まってない男子って誰がいるのか、カレン知ってる?」
全ての男子に「プロムの相手いる?」と聞いて回るのはさすがに面倒で、ヴィヴィは一か八かカレンにそう尋ねてみる。
「う、うん……。アレックスだけが、決まってない……みたい」
すらりとそう答えてくれたカレンに、ヴィヴィは手間が省けた事を単純に喜んだ。
「そっか~。じゃあ、ヴィヴィ、行って来る~」
「い、行って来るって、どこへ?」
10cmの身長差から見下ろしてくるカレンに、ヴィヴィは微笑む。
「アレックスのところ。「ヴィヴィ、プロムの相手、いないんですけど~……」的なアピール、してくる。で、誘われなかったら、自分で誘ってみる」
「えぇ~~っ!? ヴィヴィ、ちょっ それは、ええと……」
瞳を真ん丸にして驚いたカレンが、複雑な表情で言葉を濁していた。
「ん?」