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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

「……やだっ ヴィヴィったら、……は、恥ずかしい……っ」

 熱を持った頬を両手で押さえてそう恥ずかしがるカレンに、初めてそんな乙女な親友を見たヴィヴィは言葉を失い。

「………………」

「……ヴィヴィ……?」

 カレンが不思議そうに、その名を呼んだ途端、

「――って、うぇええええええ~~っ!?」

 机に両手を着き椅子から腰を上げたヴィヴィが、目の前のカレンに向かって叫んだ。

「……やっぱり、気付いて、なかったんだ……」

 そう呆れた様に見上げてくるカレンに、ヴィヴィは目を真ん丸に見開き、両手で金色の頭を抱えてさらに絶叫した。

「え~~~っ!? うそぉ~っ って、え~~っ OMG……っ Unbelievableっっ」

 頭を掻き毟りながら教室で喚くヴィヴィに、総勢20名のクラスメイト達が「何事っ!?」とこちらに注目し。

「っていうか、……さすがに、五月蠅い……」

 そう唸って立ち上がったカレンは、親友の頭にぽかりと拳骨を落とす。

 それでやっと我に返ったヴィヴィは、まだこちらを見つめているクラスメイト達ににへらと笑って誤魔化すと、すごすごと椅子に座ったのだった。

「す、すみませぬ……」

(あ、あまりの驚きに、取り乱してしまったでがんす……)

「そっか……、そう、だったんだ……」

 “ムンクの叫び” の様に、頬に両手を添えたヴィヴィは、まだ戸惑ってそう呟く。

 幼稚舎からずっと一緒のカレンが、クリスの事を男として好いている、とは――。

 カレンは女子の中では、特にクリスと仲がいい。

 それにはきっと、妹のヴィヴィの親友である事も、大きく関係しているだろうが。

 それでもやはり、彼女のサバサバした気持ちの良い性格や、姉御肌のところ、そして妙に女オンナしていないところが、クリスは一緒にいて楽なのだと思う。

「そっか~~……。でも、うん……、嬉しいな」

 頬を挟んでいた両手を降ろし、ヴィヴィは頷きながらそう呟く。

「え? 嬉しい……?」

 ヴィヴィのその言葉に、少し落ち着いてきたカレンが不思議そうに小首を傾げる。

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