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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
「うん。だってね? ヴィヴィの大好きな双子のお兄ちゃんが、これまたヴィヴィの大好きなカレンに好きになって貰えたんだもんっ これ以上嬉しい事なんて、無いよ~っ」
「ヴィ……、ヴィヴィ……っ」
驚いた表情で自分を見つめてくるカレンに、ヴィヴィは申し訳なさそうに眉尻を下げて謝る。
「ごめんねぇ、ヴィヴィ、全然気付いてなくて……」
でも今になって考えてみれば、カレンがクリスを好きと知った今だから、腑に落ちる心当たりもあったりで。
例えば、クリスに彼女が出来たり別れたり(×3回)の時、カレンは元気がなかった。
なんで気付かなかったのだろうと、内心首を傾げていると、
「ううん。ヴィヴィが “異常に恋愛事に鈍感” なのは、クラスの皆が周知の事だから――」
そう心底呆れた様子で自分を見つめ返してくるカレンの言葉に、ヴィヴィはぴくっと反応した。
「な、なにおぅ~~……!?」
(た、確かに、ジェシカ & ジェイソンが付き合ってる事、気付けなかったけど。それにしても “異常に” っていうのは言い過ぎだぁ~~っ)
両の拳を机の上でプルプル震えさせるヴィヴィに、カレンが明るく笑う。
「あははっ ヴィヴィ、ありがとう! プロム、ヴィヴィのおかげだよっ」
そう礼を言ってくるカレンの表情が本当に晴々としていて、ヴィヴィもそんな親友につられて嬉しくなった。
「ううん。良かったねぇ、カレン」
「うんっ」
満面の笑顔を浮かべた2人は、机越しにひしと熱い抱擁を交わしたのであった。
前日から四大陸選手権が始まった、その日――2月11日(木)。
いつも通り早朝からリンクでレッスンを受けていた双子は、11:55、ランチも取らずにカフェテリアでPCと睨めっこをしていた。
「……後、4分……」
ヴィヴィが壁にかけてある時計を見てそう呟けば、クリスも頷いて妹の細い肩を抱き寄せた。
「大丈夫……。僕を、信じて……」
「……ん……」
弱々しく頷くヴィヴィの両手に握られているのは、センター試験の受験票。
センターを受けた25日後の本日、12:00に東大のHPで第1段階選抜合格者が発表される。