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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
「やぁあ……、も……っと、あんっ おにいちゃん、もっと~っ」
吐精しても全く衰えず、逆に長く愛してくれる匠海の陰茎に、ヴィヴィ自身も、ヴィヴィの肉ひだも、陶酔していた。
まるで幼児が欲しいものを買ってくれない親に、駄々を捏ねる様な表情で兄を見下ろし、射精を促すかのように割れた腹筋の上を指の腹で引っ掻きながら辿り。
(もっと欲しいっ もっと……っ 足りない、足りないのっ 不安なの――っ!!)
「ヴィクトリアっ あげるから、もっと愛してあげるから……っ だから、ちょっと落ち着け――っ」
「………………っ」
兄に厳しい口調で窘められ、はっと我に返ったヴィヴィは、やがてくしゃりと顔を歪め、ぼろぼろと大粒の涙を零し始めた。
妹のそんな様子に「はぁ……」と深い息を吐いた匠海は、横たえていた上半身を起こし、腰の上のヴィヴィの躰をその胸の中に抱き込む。
「馬鹿……。大丈夫だって……。本当に、大丈夫だから」
匠海が「大丈夫」という言葉をヴィヴィに言ったのは、これが何回目だろう。
ヴィヴィはそんな変な事を思いながら、匠海の躰に必死に縋り付いて涙を流していた。
時間は40分前に遡る――。
土曜日のその日。
10:00~16:00の間、ヴィヴィは第2志望の慶應義塾大学 法学部 政治学科の入試を受けた。
・英語II・リーディング・ライティング(200点)
・世界史B(100点)
・小論文:資料を与えられて、理解・構成・発想・表現の能力を問われる(100点)
センター試験の結果も考慮せず、上記の3つだけで決まるその入学試験は、異常に難しいという前評判をヴィヴィも聞き齧っていた。
英語はもちろん、得意の世界史Bは手応えがあったので、その2教科の特点で足切りされ、小論文の採点がされないという事は無いだろうが。