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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
(ふんだ……、そんな『お子ちゃま』なヴィヴィに、いつもあんな事して喜んでるくせに~っ)
ソファーテーブルに匠海がグラスを置いた途端、ヴィヴィは茶色のバスローブ越しに兄の太ももの上に跨った。
ちなみに、全ての扉が施錠済みなのは、既に確認している。
「こら。お行儀の悪いKitty(にゃんこ)だな」
そう窘める匠海に構わず、ヴィヴィは自分と同じ高さになった兄の唇に、ちゅっと自分の薄いそれを押し付けた。
「ヴィヴィが、食べさせてあげるの」
「おや、出血大サービスだね」
大きな灰色の瞳でじいと見つめてくる妹にそうおどけた匠海に、ヴィヴィはこくりと頷く。
「うん。いっぱい食べて、いっぱい飲んでね?」
「それは、後でヴィクトリアの事も、いっぱい食べていいって事か?」
にやりと悪い笑みを浮かべながら妹を煽ってくる匠海に、
「ん。ヴィヴィも、食べて……」
そう囁きながら、薄い唇にボンボンを咥えたヴィヴィは、兄の肩に両手を添えて唇へと運んだ。
唇を触れ合わせながらヴィヴィから受け取った匠海は、妹の唇がココアパウダーで汚れている事に気付き、そこもぺろりと舐め上げた。
「んっ」
甘い声を上げたヴィヴィに、匠海はボンボンを咀嚼し、テーブルから取り上げたシャンパンで飲み下す。
それを確認してから自分の唇を重ねたヴィヴィは、小さな舌を兄の口内へと忍ばせた。
すぐ傍にあった兄の舌を舐め取ると、口内に広がったのは、ボンボンの甘い味。
「美味しいか?」
「甘い……」
「じゃあ、これは?」
もう一度ごくりとシャンパンを飲み下した匠海は、ヴィヴィの顎に指を添え、己の唇へと導いた。
またぺろりと兄の舌を辿れば、今度はアルコールの苦さと、ほんのりとブドウの香りが口内に広がり。
「苦い……」
そう端的に言い表すヴィヴィに、匠海は苦笑した。
「ははっ まだ『お子ちゃま』には早いって事だよ」
「ん~っ もう一回するの! 次はシャンパンの味、分かるかも」
白い頬を膨らませてそう主張するヴィヴィに、
「ふっ 悪い子だね、まったく」
そう言いながらも、匠海は何度もシャンパン味のキスを赦してくれて。