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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 第1日目:2月23日(火)

  9:30~12:00 国語

 14:00~15:40 数学 
 
 第2日目:2月24日(水)

  9:30~12:00 地理・世界史

 14:00~15:40 英語
 
 2日間に渡り、今まで培った自分の全てを駆使して問題を解きまくったヴィヴィは、終わった瞬間、なんだか晴れやかな気持ちになった。

 やり切った。

 出し尽くした。

 今の自分に出来る事以上の事は出来なかったし、出来る事は実力を発揮出来た。

 もう、どう転んでも、しょうがない。

(うんっ ウジウジしても、結果は変えられないし! よし、ヴィヴィ、よく頑張ったっ!!)

 駒場キャンパスから屋敷へと戻るベンツの中、ヴィヴィはそう心の中で思うと、すっきりとした笑みを浮かべた。

 隣に座っているクリスは、車に乗り込んだとたんに爆睡していた。

「クリス……、お疲れ様。そして、ありがとね……」

 自分の肩に頭を乗せて寝ているクリスにそう囁いたヴィヴィは、その金色の髪に口付けし、自分も長い睫毛を湛えた目蓋をゆっくりと下していった。





 帰宅してそれぞれ休んだ双子は、ディナーを摂ってからリンクへと向かい。

「東大、どうだったのっ!?」

 そう尋ねられる度に、

「予備校の解答速報、明日じゃないと分からないんだ~」

と答えるに留め、久しぶりに解放された気分で滑れる喜びに浸りながら、レッスンを終えた。

 屋敷に戻って就寝準備を終えたヴィヴィは、まだ戻っていなかった匠海にメールを送った。

 そして兄の寝室でその黒いベッドに潜り込むと、部屋の主の帰りを待たず、すやすやと眠りに着き――。

 その30分後に帰宅した匠海は、ベッドで眠りこけているヴィヴィを見つめてほっと息を吐いた。

 ヴィヴィの寝顔は安らかなもので、たまに「おにぃちゃぁん……むにゃむにゃ……」と寝言を言い。

   『お兄ちゃんのベッドで寝て 待ってるから、

    帰って来たら、絶対×3 起こしてね!』

 妹からそんなメールを貰っていた匠海だったが、2日に渡る本試験を終えたヴィヴィを起こす事など出来る筈も無く。
 
 結局、就寝準備を終えた匠海は、ヴィヴィをその胸に大切そうに抱き寄せると、一緒に眠りに着いたのだった。





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