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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
3月1日(月)。
The British School in Tokyo(BST) 高等部 卒業式。
いつも通り、紺地に赤線のタータンチェックのワンピの制服、式典用の紺ブレザーに身を包んだヴィヴィは、同じくいつもの制服に紺ブレザーを纏ったクリスと登校した。
「Congratulations to our new generation of graduates (卒業生の皆さん、おめでとうございます)」と書かれた横断幕が張られたそこをくぐるヴィヴィは、なんだか不思議な気分だった。
(卒業、するん、だよ、ね……?)
内心首を捻りながら教室に入れば、双子以外のクラスメイトは全員、紺色のローブを纏っていて。
「おっはよ~!」
「はよ……」
元気に朝の挨拶をして皆を見渡せば、笑顔と挨拶が返ってくる。
「Good morning! 双子っち~」
「お前らが、一番最後だぞ~っ」
「おはよ~! あれ、2人とも、ローブは?」
ヴィヴィは手にしていたバッグを持ち上げ、笑う。
「着てきたら裾が皺くちゃになると思って、持ってきた~」
さっそくバッグから取り出し、膝下丈の紺のローブを羽織り、金色の房が付いた紺色の角帽を被った。
みんなで写真や動画を取り合ったり、受験や進路の進捗状況を話し合っていると、黒いローブを纏った担任が顔を見せ、皆で講堂へと移動した。
広い講堂には40名の在校生と、教諭陣、卒業生の両親等が揃っており。
卒業生総勢20名が、クラスカラーの赤にちなんだ、テイラー・スウィフトのRED のBGMと共に賑やかに入場すれば、場内の皆から拍手や囃し立てる明るい声が飛び交う。
檀上の椅子に腰かければ、粛々と進んでいくセレモニー。
恒例の学園長挨拶、来賓挨拶、卒業生一人ひとりへの成績評価証明書の授与。
そもそも英国の高校には卒業証書は存在せず、その代わりとなるのが――GCSE Aレベル「高等教育終了資格」。
その結果を以て、就学終了となる。
そして発表されたのは、各分野で活躍した生徒に贈られる賞。
スポーツ、芸術、音楽、生徒会、等において様々な賞が与えられる。
※テイラー・スウィフトのRED : テラスハウスの主題歌