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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 ぐるりと周りを客が取り囲む中央で、10組のペアが2列に並び、4人ずつ手を繋ぐと、正面に向かってその場で行進を続ける。

 曲に合わせ左へと移動し、女子が膝を折り、男子が深くお辞儀をする。

 右にも移動し同じ仕草を繰り返したところで、行進曲はフェイドアウトし。

 バンケットに据えられたDJブースに立つ、タキシード姿のDJが次に流したのは、ヨハン・シュトラウス作曲『美しき青きドナウ』――双子がTHE ICEで、双子プログラムを滑ったウィンナー・ワルツだ。

 否が応でも気分が高揚してくる前奏に合わせ、正面を向いていた男女ペアが向かい合い、右手同士重ねながら、女子がゆっくりと膝を折り床にしゃがみ、男子が恭しくその繋いだ手の上に額が触れ合う程の深い礼をする。

 そして立ち上がった10組のペアはワルツポジションを組み、美しい歌い出しと共に、くるくると踊り始めた。

 ヴィヴィから見て右手を高く組みながら左手はアレックスの肩の傍に添え、彼に背を支えて貰う。

 ウィンナー・ワルツはとにかく、くるくる回る。

 見た目は優雅な事この上ないが、特に女子は高いヒールを履き、長い裾の中で細やかなステップを踏むのは大変だ。

 純白のドレスと漆黒の燕尾服を翻しながら踊る自分達の子息子女に、特に親達から沢山の拍手と歓声が上がっていた。

 ヴィヴィは20cm高いところにあるアレックスの顔を見つめ、にっこりと微笑む。

(えへへ。楽し~な~っ)

 この『美しき青きドナウ』を双子プログラムで滑った時、振付けてくれたバレエ教師が与えたテーマは『社交界デビューする、デビュタントを夢見る少年少女』だった。

 今まさにその状況に近い自分達の姿に、ヴィヴィは気持ち良く酔いしれていた。

 にっと笑ったアレックスが、背を支えていた掌を離すと、組んでいた手をくるりと上で回し、その下でヴィヴィの身体を回した。

「わぉっ」

 思わずそう呟いてしまったヴィヴィに気付いたクラスメイト達が、我も我もと女子をくるくる回し始め、辺りには面白がる笑いが満ちていた。

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