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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
皆がアレックスを冷やかす中、全員でのステップへと移り、軽快なケルト民族の音楽に合わせて加速していくステップに、またこのプロムの会場でも大きな歓声が上がる。
ヴィヴィは自分達が1ヶ月掛けて完成させたリバーダンスが、とても誇らしかった。
クリスとカレンのソロダンスも喝采を浴び。
フィニッシュの後のカーテンコール、そして舞台裏でやりきった満足そうな笑顔を浮かべるみんなの顔。
「やばい……、泣きそうっ」
感動して目頭が熱くなったヴィヴィは、隣りのカレンにきゅっと抱き付いた。
「あ~、ヴィヴィ泣くな~。せっかく綺麗にして貰ったメイク、剥げちゃうよ?」
「あっ いかんいかん……」
カレンのその指摘に我に返ったヴィヴィは、上を向いて何とか涙を引っ込ませた。
その後はまた、立食をする傍ら、DJの流す音楽で踊り狂い。
さすがにちょっと疲れたヴィヴィは、皆から離れ家族を探す事にした。
(マムにジュエリーのお礼も言いたいし……)
ヴィヴィはきょろきょろと1階を探すが、皆の姿が見えず。
もしかしたらと広い階段を登り2階に上がれば、だだっ広いリビングルームの一角で、ダッドと一緒にワインを傾けている匠海を見つけた。
「ダッド~、お兄ちゃ~んっ」
そう呼びながら傍に寄れば、2人がヴィヴィに気付いて微笑んだ。
「おや、本日の主役の1人――ヴィクトリア姫のお出ましだ。もう踊らないのかい?」
父のその問いに、
「ううん。2人をダンスに誘いに来たの。ちょっと休憩もしたいけど」
そう本音を漏らしたヴィヴィに、匠海が尋ねる。
「ん? パートナーのアレックスは?」
「アレックスは今、下でジーン(兄)とダンス対決してるよ~」
もはや燕尾服を脱ぎ捨てて踊り狂っているパートナーに、ヴィヴィは肩を竦めてみせた。
「あははっ やんちゃだな~、アレックスは。匠海、私はジュリアンが着いたら下へ行くから、ヴィヴィの子守り、しておいで」
「むぅ……。 “子守り” じゃないもんっ ヴィヴィ、もう高校卒業したもんね~っ!」
父の言葉に。「えっへん」と言いながら誇らしげに薄い胸を逸らしたヴィヴィは、両拳を腰に当てた。