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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 少しして遅れていたジュリアンが到着し、気付いた匠海に教えられ、ヴィヴィは母にジュエリーのお礼とその晴れ姿を見せに行った。

「まあ、やっぱり娘っていいわね~! ふわふわキラキラふりふりしていて。男ってスーツとかタキシードとか、着せ替えがいが無いからね~」

 そう言ってヴィヴィのドレス姿を褒めてくれた(?)母と、ジュリアンを見つけて降りてきた父ともダンスを踊り。

 そして、手を握られて振り向けば、

「僕も……」

 そう拗ねた表情で言い募るクリスとも、Earth,Wind & Fire の SEPTEMBER を踊り狂ったのだった。

 4時間のプロムも残すところ40分となり、落ち着いた音楽が流され、暗く落とされた照明の下で皆がしっとりと踊り始めた。

 ほとんどの者が抱き合いながらゆったりと踊っている中、ヴィヴィとアレックスは初々しく、両手を繋いでリズムに乗っていた。

「ヴィヴィ……、今日は、ありがとう。ヴィヴィとプロム来れて、とても嬉しかった」

 そう静かに囁いてきたアレックスに、ヴィヴィはにっこりと微笑んで返す。

「ヴィヴィこそ。アレックスがパートナーで良かった! ワルツ楽しかったし、いい思い出一杯出来た」

「……ヴィヴィ……」

「え?」

 自分を呼ぶその声が静かで、見下ろしてくるアレックスの表情が、何故かどんどん強張っていき、ヴィヴィは驚いてダンスの足を止めてしまった。

(アレックス……? どうしたの……?)

「俺、ずっと好きだった……」

「え……?」

 ぼそりと零されたその言葉を小さく聞き直したヴィヴィに、ひゅっと息を吸い込んだアレックスが、腹の底から大声で発した。

「俺っ ずっと初等部の頃から、ヴィヴィの事、 “女の子として” 好きだった――っ!」

「……――っ!?」

 公衆の面前で――しかも両家の親族の目の前で、愛の告白をしてきたアレックスに、ヴィヴィはただただ驚嘆し。

 そして白のドレスを纏ったその華奢な身体は、いつの間にかアレックスの燕尾服の胸に抱き締められていた。

(……え……? あ、あれ……? なんで、こんな展開に……?)

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