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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
周りはコントみたいな2人に笑ってばかりで、ヴィヴィが「さて、どうしようか」と困り果てた頃。
いきなり自分の肩を掴んできた掌に力を籠められ、そして自分を抱き締めていたアレックスの身体がべりっと剥がされた。
驚いて引き剥がしてくれた人物を確認すれば、そこに仁王立ちしていたのは、他でもないクリス。
「僕の妹に、何をしてくれてるのかなぁ? アレックスっ」
どすの利いた声音でそう凄むクリスに、隣のアレックスがさ~っとその顔色を無くしていく。
「あ゛……っ ク、クリス……、悪いっ ご、ごめんって!」
「赦しません。いらっしゃい――」
そう言い渡したクリスは、アレックスの燕尾服の首根っこをむんずと引っ掴み、その長身をずるずる引っ張って開け放たれたガーデンへと出て行ってしまった。
双子の兄のおかげで何とか解放されたヴィヴィはほっとしたが、その直後、
(あ~~……、アレックス。クリスの “脇腹くすぐりの刑” 執行されるな……)
同情したその瞬間、ガーデンに続く大きな窓からは「ぎゃはははっ ひぃっ やめてぇっっ!!」という、アレックスの死にそうな笑い声が聞こえてきたのだった。
「ヴィヴィ、オモテになりますこと♡」
そう冷やかしながら肩を摺り寄せてきたのはカレンで。
「~~っ 見てないで助けてよぉっ」
困り果てた表情でそう言い募ったヴィヴィに、カレンは「や~よ」と美しく結い上げた頭を振る。
「 “人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られてあの世行き” ってね。アレックスがずっとヴィヴィの事を見てたの、私知ってたし。邪魔なんか出来る訳ないでしょ?」
「……はは……。そうですか。また知らないのはヴィヴィだけですか。そうですか」
そう言ってがっくり頭を垂れたヴィヴィなのだった。
そしてプロムの最後のお約束、投票によって決められる “キング” と “クイーン” には、成るべくしてなってしまった感のある、アレックスとヴィヴィが選ばれたのだった。
『The QWEEN of PROM』と書かれた赤いタスキを掛けられた苦笑いのヴィヴィと、『The KING of PROM』のタスキを貰った、擽られてヘロヘロのアレックスが、それぞれ短いスピーチをして会場を盛り上げ。