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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 そして本当に最後の最後――。

 毎年恒例、プロムの締め括りと言えば、グローブ投げ。

 勢揃いした20名のクラスメイトと担任は、バンケットホールのど真ん中に円陣を組む。

「OK Let’s go guys――. Say Yeah!」と委員長。

「「「Yeah!」」」

「Say HA! HA! HA!」

 委員長の呼び掛けに、皆が腹の横で拳を作って叫ぶ。

「「「HA! HA! HA!」」」

「Come on now,ケイト,マイク」

「ミランダ,カイル」

「メアリー,ケン」

「アンナ,トーマス」 

「カレン,クリス」

「ケイリー,テッド」

「ジェシカ,ジェイソン」

「マリ,ジーン」

「ミリー,ハリー」

「ヴィヴィ,アレックス & ケインズ先生!」

 皆がそれぞれの片手を出し合い、中央で1つに重ね合わせる。

 ああ、これが本当に最後の最後だ――ヴィヴィはそう思いながら皆と叫ぶ。

「「「Everybody go together now!!! Hu~~っ!!!」」」

 明るく叫んで円陣を組んでいた腕を振り上げた一同は、手にしていた女子のロンググローブと、男子のグローブを天井へ向けて放り投げ――。

 白一色に染め上げられた空中に、わっと会場から歓声が上がる中、4時間のプロムは終了を迎えた。



 名残惜しみながらクラスメイトと担任と別れ、リムジンで帰途に就こうとした時、

「私達は、呑み直してから帰るわね?」

 父と腕を組んだ母のその発した言葉に、ヴィヴィはティアラを乗せた頭を傾ける。

「明日、火曜だよ?」

 両親とも普通に朝から仕事ががある筈だが、今から深酒をしに向かうのか。

「あははっ! ダッドは明日 “重役出勤” をすると心に決めたのだっ」

 父のその主張に、匠海と双子は気の抜けた笑い声を零す。

「「「ははは……」」」

(いや……。会社のトップのCEOが “重役出勤” するって言い張るの、なんか変……)

 そう心の中で突っ込みながらも、夜の街へ消えていく仲睦まじい両親を見送り、3人はリムジンへと乗り込んだ。

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