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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章
ちらりと振り返ったヴィヴィの視線の先で、光沢のある黒スーツの合わせ目からそれだけを取り出した兄が、妹の恥ずかしい場所に擦り付け始めた。
「お前は感じやすいから、これだけでも濡れるだろう?」
その兄の言葉に、ヴィヴィは心の中で首を振る。
(さすがに、怒ってるお兄ちゃんの前で、そんなに濡れないと思う……けど)
ヴィヴィの予感は的中し、兄が執拗に押し付けてくる陰茎にも、薄紅色のそこは少しも反応しなかった。
たぶん兄はどうやっても事に及ぼうとするだろうし、それならばヴィヴィも苦しいのは嫌だし。
小さな頭の中では、必死に今までの兄との交わりを思い出し、少しでも濡れる様にと焦っていた。
(お兄ちゃんの、おっきいの……、いつもヴィヴィの中、隅々まで可愛がってくれて、ヴィヴィいっつも、はしたなく濡らしちゃって……)
けれど焦れば焦るほど、ヴィヴィの躰はより頑なに、解れようとはしなくて。
「しょうがない」
ぼそりとそう呟いた兄の声に、ヴィヴィは無理やり捩じ込まれるのを覚悟し、白のドレスを纏った躰を強張らせた。
が、
「ひうぅっ!?」
何故か、いきなり高い声で哭いたヴィヴィ。
暖かな何かが、自分と兄が重なり合っているそこに降り注いで。
(な、何……?)
少しの恐怖と共に後ろを振り返れば、匠海の大き目の唇から垂れる、一筋の暖かなそれは、紛れもない兄の体液で。
またぬるりと暖かく濡らされたそれに、ヴィヴィの腰がひくんと揺れる。
妹の方にちらりと視線を寄越した匠海の表情は、筆舌にし難いほど、男の情欲を滲ませた扇情的なそれ。
「……――っ」
無理やり抱かれようとしているのに、ヴィヴィの躰はゾクゾクと、今の状況を悦び始めた。
(たぶん、お兄ちゃんは、嫉妬……してる……。アレックスに……)
プロムの終盤、告白して抱き締めてきたアレックス。
ヴィヴィの気持ちを知っていて、ただ自分の十数年に渡る想いを伝えたかったと言ってくれた、幼馴染みの起こした一連の行動。
ヴィヴィは、兄は見ていなかったのだと思っていた。
何故なら、帰りのリムジンの中ではにこやかにしていて、いつもと変わらなかったし。