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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第104章              

 何度もイかされて、兄を受け止めているそこだけが、まるで違う生き物の様にうねっていて。

 ずっと気持ち良くて、もう意味を持たない喘ぎだけを上げ続けていた頃。

 ようやく兄の限界が来たらしく、激しく腰を打ちつけたのち、妹の最奥まで自分を捻じ込み、匠海はそこで吐精した。

「ひゃぅううううっっ ……っ ……ぁ……、ぁ、ぁ~~……」

 敏感すぎる子宮口を暖かく塗らされたヴィヴィも、切羽詰まった嬌声と共に果て。

 兄の硬さを確かめるように、きゅんきゅん締め付けるそこからもたらされる余韻に、恍惚の時を過ごしていた。

 けれど、匠海はすぐにヴィヴィの中から出て行ってしまって。

 いつもなら達した後もヴィヴィが「やめて」と言っても、執拗に蕩けた中を味わっている兄の逞しいものが、今は無くて。

 虚しく締まり続けるそこに、ヴィヴィは切なくて、自分で自分の躰を抱き締めて慰めた。

 数分してやっと落ち着き始めた自分の躰にほっと息を吐き、頭を持ち上げて兄の姿を探せば。

 驚いた事に自分が上半身を突っ伏していたすぐ隣に、こちらに背を向けた状態で匠海はベッドに腰掛けていた。

「おにぃ、ちゃん……?」

 暗い寝室の唯一の光源であるベッドサイドのランプ、それを鈍く跳ね返す兄の光沢のある黒スーツの背中は、とても広くて。

 そして、なんだか哀しそうで。

 両手を突いてゆっくりと上半身を起こしたヴィヴィは、兄の背に掌を這わせて口を開く。

「ヴィヴィ……、ちゃんと、断ったよ……?」

 正確に言うと、断る前にアレックスが自分で「分かってる」と言ってきたのだが。

 けれど、匠海はびくとも反応しなくて。

「ねぇ……、お兄、ちゃん……。アレックスとは――」

「抱かれてんじゃねーよっっ!!」

 弁解を重ねようとしたヴィヴィを、匠海は背を向けたまま怒鳴って遮った。

 その声量は、いくら造りの頑丈な篠宮家であれとも、階下の両親にまで届くのではないか、と心配になるほど大きくて。

 一瞬焦ったヴィヴィだったが、よく考えれば両親は今頃、表参道界隈で呑んだ暮れている。

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